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修理の手が長い間入っていない旧東ドイツのアパート入り口 |
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訪問したT氏の今冬の石炭。なんと2トン |
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このようにきちんと点火されれば扉を閉めても消火しない。手前にあるバケツは燃えカス入れ |
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インテリアとして残された旧西側のストーブ。奇麗なクリーム色が特徴的だ |
ドイツ=たかもと・みさこ 防寒をアツく語ろう!
統一後、目まぐるしく変化していくベルリン。オスタルジー(東を懐かしく思うこと。「オスト=東」と「ノスタルジー」の造語)がはやる中、古いタイプの家の設備に対する愛着も、若い人の間でわきつつある。
西側の都市と違い、半分が東側にあったベルリンではモダンなヒーターと並んで、まだ石炭ストーブを使っている人たちが結構いる。石炭ストーブしか取り付けられていないアパートの家賃は当然安くなるのだが、部屋を暖かく保つために使う毎日の労働量は結構なものである。
冬の初めに、石炭屋さんに1年間使用する予定の石炭を注文するのだが、量が多くて場所を取るのと床を黒く汚してしまうため、1週間分ほどを部屋の隅っこに置き、残りは建物の地下物置にしまうことになる。つまり部屋の石炭が切れるたびに、寒い中、重い石炭を地下室まで取りに行かないといけない。
石炭に火をつけるのも容易ではない。なかなか鍛錬が必要で、最初のうちは思うように暖まらなかったり、すぐに消えてしまったりして、寒い思いをする。点火してしばらくの間は排気を忘れると一酸化炭素中毒になって危険だし、使用後の掃除の際に、空気に舞うほど細かい燃えカスを吸い込まないようにするのも、決して楽ではない。
こういう理由で、石炭ストーブ付きのアパートは人気が低下しつつある。ただでさえ物件が余っているベルリン。家主にとっても、石炭ストーブの代わりにセントラルヒーターを取り付け、家賃を上げたほうが借り手も見つかりやすいし、利益にもなる。
そうしてはぎ取られるように解体された石炭ストーブは、床に四角いブリキの板を残すのみとなるのだが、タイルでできたストーブを壊さずに「インテリア」としてそのまま飾っている若者もたくさんいる。奇麗なクリーム色のタイルのヒーターには、小さな火加減をチェックする窓がついているが、小さな飾りや写真を飾ることもできる。実際ストーブとして使うには面倒なのだが、アンティーク・インテリアとして石炭ストーブが扱われる時代がやってきた。
時々道を歩いていて、遠くから石炭の香りがすることがある。その香りは良いものではないけれど、私たちをノスタルジックな気分にさせてくれる。無くなってしまったものへの郷愁とは、このことだろう。