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ゴム草履姿で「ヒルズ・ホイスト」に洗濯物を干すオーストラリア人。ハンドルで高さを調節することが出来る。 |
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見晴らしの良い「ヒルズ・ホイスト」にはワライカワセミなどの野鳥がよく訪れる。 |
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「ヒルズ・ホイスト」の上から筆者の飼い猫に向かって歌いかけるハイイロモズガラス |
オーストラリア・緑ゆたか ガーデンだって家の一部だ
メルボルンのあるビクトリア州は「ガーデン・ステイト」の異名を持つほど素晴らしい庭園に恵まれた州である。一般家庭でも庭造りに熱中する人が多く、散歩がてら隣人たちの自慢の前庭を見て歩くのも楽しみである。
さて、他人の目を意識して造られた前庭と違い、プライベートな裏庭は各家庭の個性がはっきり表れる。犬や子供たちが走り回るための芝生ばかりの裏庭もあれば、トランポリンやブランコやバーベキュー場を設置した裏庭もある。郷土料理に欠かせない食料供給場となることも多い。我が家でも裏庭の大部分を菜園にして大根やミズナなどを育てている。
各家庭のニーズにより多種多様な性格を持つ裏庭だが、我が家を含め多くの一般家庭に共通して見られるものがある。こちらで「ヒルズ・ホイスト(Hills Hoist)」と呼ばれ、裏庭にデーンとそびえ立っている物体である。ヒルズさんという人が1940年代に開発したオーストラリアが世界に誇る発明品で、商品名が普通名詞のように使われている回転式物干し竿のことだ。
たかが物干し竿と思われるかも知れないが、この「ヒルズ・ホイスト」、オーストラリア人にとっては「心のふるさと」といえるほど愛着のあるものらしい。例えてみれば日本人にとっての「ちゃぶ台」のようなものであろうか。シドニー・オリンピックの開会式にもしっかり「ご登場」していたほどである。
先日テレビ番組で「オーストラリアのアイコン」トップ20が発表されていたが、「ヒルズ・ホイスト」はトップ5入りを果たす快挙であった。ちなみに1位は「ゴム草履」。こちらも夏場の庭の必需品であるが、コアラやカンガルーを挙げずにこういうものを上位に持って来るオーストラリア人の思考回路は外国人にとってなかなか理解しがたいものだ。まあ、こういったものがオーストラリア人の暮らしに密着したものであることは確かで、庶民的で気取らない国民性を映し出す道具と言えるのだろう。
一昔前にはメルボルン郊外の一軒家の平均的敷地面積は1/4エーカー(約300坪)と言われていたものだが、最近は分譲が進んで100〜150坪が一般的となっている。昔は裏庭の奥の方で目立たないようにたたずんでいた「ヒルズ・ホイスト」も、手狭になった昨今の裏庭ではまるで巨大オブジェである。ますます存在感と目障り感を増している「ヒルズ・ホイスト」。まだまだ健在である。