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「世界のウチ」

玄関ドアカーテンのナゾ

2007年03月28日

 イギリス 北アイルランド・益邑信子  家にまつわるトホホな話

 カーテンをつるす目的は何だろう。太陽光線をさえぎる、外から家の中を見えにくくする、冬は暖房を逃がさない、など。日本では、光を通さない遮光カーテンや汚れにくいカーテンなどの機能性商品が花盛りだが、片や、ヨーロッパの西端に浮かぶアイルランド島の一部分、英国領土である北アイルランドでは、昔と変わらぬ普通の生地カーテンが主流である。これを幅の狭い縦型の白いブラインドと組み合わせるのがはやっている。

写真カーテンを閉めて、玄関ドアに注ぐ日差しをシャットアウト。これでUV対策は万全!?
写真赤や緑系などもありカーテンの色はさまざまだが、どれも縦縞がお約束

 このように差異はあっても、カーテンとは家の中の窓辺を飾るもの、と長年信じていたのだが、ここではその通念がくつがえされた。首都ベルファストから少し田舎の町に行くと、カーテンが家の外、玄関ドアの外側につるしてあるのを目撃するのである。ドアの上から地面スレスレまでの長さがあり、家の顔とも言える玄関ドアの代わりに、安っぽい縦縞模様のカーテンがぶら下がっているわけだ。

 これはいったい……。セールスお断りのサインか? 玄関ドアが壊れたのか? いやいや、すき間風を防ぐため?などと、想像をめぐらした。そして、このカーテン、注意して観察していると、冬にはあまり見かけなくて、春先から数が増えるようなのだ。

 実は、このカーテンの役目とは「大切な玄関ドアをUVから守るため」。北緯が樺太ほどの緯度にあるアイルランドは、夏でも最高気温が25度くらいまでと、過ごしやすいのだが、紫外線は強い。そこで、木製のドアのペンキの色が劣化するのを防ぐため、さらにドア自体を紫外線のダメージから守るために、カーテンをつるすのだそうだ。特にペンキを塗ったドアよりも、ナチュラルな木目を生かすため透明なニスを塗ったドアの方が、より傷みやすいらしい。

 ところが、である。最近のペンキやニスは、紫外線からドアを守る成分が含まれた製品が主流になっているとのこと。これらを塗りさえすれば、カーテンなんて全然必要ないのである。そんな新製品の存在を彼らは知らないのだろうか、それとも、次の塗り替えまではカーテンを利用するのか。いや、例えペンキを塗りかえても、カーテンをつるし続けるかも。「せっかくあるカーテン、念のためにつるしておこう。UVカット塗料にカーテンのダブルで万全!」といった具合に。UV防止ペンキに塗り替えて、自慢のドアをいつも見えるようにしておいた方が、よほどかっこいいと思うのだが。


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