現在位置:asahi.com>住まい>世界のウチ> 記事

PR 住まいの最新情報

「世界のウチ」

巣作りはお上手?

2007年04月28日

カナダ・椋本百合子 住育―子どもを育てる家

 ここカナダもアメリカと同じフロンティア(開拓者)の国。そのせいかどうかは定かではないが、自分たちでマイホームを建てたり、改装したりする人が多い。まあ時間に余裕があって、細かい所には目をつむるというおおらかな人が多いのは確かだ。

写真子ども用のコンピューターは台所の片隅に。晩ご飯のレシピを検索するのに便利
写真自分で好きな色に塗り替えた子ども部屋。今度は何色にしようかな
写真想像以上に重いホーローの浴槽。日本のお風呂のように深くて肩までゆったり漬かれる
写真天井をぶち抜いてロフトを作った居間。明るくて開放的な雰囲気

 近所に住む義兄一家は10年前に中古の家を買った。築80年のビクトリア調の家で、重厚な窓枠やドアはアンティークが好きな人なら涎(よだれ)が出そうなくらいだが、長年手が入れられてなかったようで、ろう人形の住む幽霊屋敷のような雰囲気だった。それが大工のいとこの助けもあったが、この10年間のDIYで見違えるようなファミリーホームに変身した。

 ほこりのたまったカーペットをはがしてハードウッドの床を張り、居間の天井をぶち抜いてロフトを作った。台所が広くなり、義姉がオークションセールで手に入れたホーローの浴槽を2階の浴室まで大男4人が命がけで運んだ。義兄は当時学校に勤めていたので夏休みはたっぷり2カ月あった。その後、長く寒い冬を越すために地下にサウナを作り、最近はプロジェクターを買ってホームシアターを作ってしまった。今ではティーンエージャーになった子どもたちが、自分たちの部屋を好みの色に塗り替えたり、ハードウッドの床を張ったりできるようになった。私は子どもの頃、部屋の模様替えが好きだったが、せいぜい家具の配置換えや置物などで雰囲気を変えるぐらいだった。この子たちが将来独立して自分の家を持つようになったら、気軽に棚を作ったり、タイルを張ったりするのだろうと思う。

 改装にあたって結婚の危機(?)というほどの意見の対立もあったそうだが、家族のコミュニケーションは嫌でも親密になる。子どもたちはコンピューターやインターネットに関しては大人顔負けの知識をもっているが、大工仕事は親に手伝ってもらいながら上手になっていく。

 それから、よく言われていることだが、親が働いているとことを子どもたちが見て育つのは教育上たいへんよろしいことだ。お父さん(お母さん)がいくら会社で一所懸命働いていても、家ではゴロ寝してビール片手にテレビ鑑賞だけでは、親の印象はいまひとつだ。親が楽しみながら自分たちで、もっと住みやすいように家を作っていく姿を見せるのも、一つの「住育」なのではないかと思う。

 夫の家族が集まると、今度はどこを改装しようかという話になる。薪ストーブの火を見ながら次のプランをあれこれおしゃべりしながら、長い夜が更けていくのだった。


このページのトップに戻る