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アンデスの太っ腹エコグッズ発明家

2007年07月14日

ペルー・飯尾響子 エコでいきましょ!

 ペルーの有名ラジオ局RPPでは、毎年、地域の生活改善に寄与した人や組織に賞を贈っている。2006年の受賞者のひとりは、アンデス高地の独学の発明家、アウレリオ・コンド・カルロスさんだった。

写真標高4000メートルをこえると、こんな荒涼とした風景が広がっている
写真それでも上等の毛皮を着込んだアルパカ・リャマ・羊たちは、涼しい顔で歩いている
写真しかし人々の暮らしは寒い。こういう家々では、温かなシャワーなど夢のまた夢だった
写真雑誌でも紹介されたアウレリオさん。温水器の使い方を説明しているところ

 33歳のアウレリオさんは、クスコ県のママノッカという、標高4200メートルの村に住んでいる。ペルーアンデスは赤道に近く温暖だが、さすがに4000メートルを越えると、寒く乾燥していて、それなのに雹(ひょう)や霜の被害は多く、農業にはまったく向かない土地柄となる。同村の人たちも、少々のジャガイモを作るほかは、代々アルパカや羊の放牧でかろうじて生計を立ててきた。

 アウレリオさんも、生活の厳しさから小学校も卒業できなかったが、98年、霜で自宅のジャガイモ畑が全滅したとき、たまたまラジオの農業番組に耳をとめ、少しでも暮らしを楽にするため、自分も何か工夫してみようと思い立ったという。今ではその努力が実って、すでに36種もの発明品を完成させているが、どれもお仕着せのエコグッズではなく、アンデスの実態に即しているのがすばらしい。ほとんどの材料はいらなくなった物を使うので、現金収入がほとんどないアンデス高地の人でも、無理なく作ることができるのだ。

 中でもいちばん人気の発明品は、わずか400円で作れる温水シャワーである。アウレリオさんは、不要になったアルミ箔(はく)と、少々のプラスチック管を組みあわせ、高地で唯一ありあまっている太陽光だけで、いつでも温水が使えるシステムを作り上げた。これは、寒い高地で温かなシャワーというぜいたくが楽しめるだけでなく、畑の霜よけにも役立つ。また同じくアルミ箔を使った簡易温室のおかげで、ふつう標高4000メートルでは栽培できない、新鮮な青菜やタマネギ、トマトなどが庭先でとれるようになったという。

 そのほかにもアウレリオさんの手にかかると、ペットボトルが窓ガラスの代用品になったり、燃えないごみが避雷針や家畜泥棒よけアラームになったりする。あまりに次々と名案を思いつくので、「あいつは魔術師だ」と陰口をたたく人もいるそうだが、そんなことは気にもかけず、考案した方法はすべて無料で教えてしまうのが、アウレリオさんのすごいところである。おかげですでに2000人以上の人が、彼の発明の恩恵を受けているという。冒頭にあげたラジオ局の賞も、アウレリオさんの発明家としての頭脳だけでなく、その心の広さも評価してのものである。


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