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「世界のウチ」

ティティカカ湖上の最先端の暮らし

2007年08月25日

ペルー・飯尾響子 エコでいきましょ!

 ティティカカ湖のタキーレ島について、今まで何度かご紹介してきたが、「エコロジカルな生活」というテーマに沿って改めて眺めると、世界の最先端の暮らしのようにも見えてくる。日干しれんがの家に住み、太陽発電板で電力をまかない、牛ふんを燃料に使うことはすでにお話ししたが、それ以外にもいろいろエコロジカルな工夫が、島では日々当然のこととして実行されているからだ。

写真海のように広大なティティカカ湖
写真雨水を薪で沸かしていれた、自生の薬草のお茶。ある意味こんなぜいたくはないかも
写真アンデス全土で愛用されている、リサイクル履物「オホタ」
写真手を休めるのを嫌うタキーレ島の人は、こうして歩きながらも糸紡ぎをする

 たとえば島の人は、水をとても節約する。広大なティティカカ湖に囲まれているのに、皮肉なことであるが、島の地形がけわしいせいで、生活・灌漑(かんがい)用水をすべて人力で担ぎ上げるわけにもいかず、昔から水では大いに苦労してきた人たちなのだ。

 それで90年代に、国が湖水をくみ上げるポンプを設置したのだが、管理をめぐって島民の意見が一致せず、結局ほとんど使わないまま故障してしまった。今も1カ所水の出る水道があるが、さほど人気はない。島の人によると、湖水はきれいだけれど、かすかに塩気があり、飲用水としてはあまりおいしくないそうだ。

 かわりに島の人が好むのは雨水である。彼らは「タキーレの雨水は甘い」とまで言う。私も雨水でいれたお茶をごちそうになったが、空気がきれいなせいか、たしかにミネラルウオーターなみの味である。それで雨期には、島の人はみな大きな容器を庭先に出し、ありがたい天水を集めて大切に使っている。

 そのほか島では、主食であるジャガイモ、トウモロコシは自給自足だし、多くの場合タネも代々伝わるものを用い、肥料といえば羊の糞だけである。また衣類も自分で作り、何度も縫い直して大切にする。履物も、「オホタ」という立派なリサイクル品を使う。オホタは黒い丈夫なサンダルで、アンデス中の人の愛用品だが、実はこれ、すりきれた古タイヤで作られている。さすがタイヤ製だけあって、これを履いたタキーレ娘たちは、実に軽やかな良い走りを見せてくれる。

 このようにタキーレ島での日々は、頭上の太陽電池板から足元のオホタまで、ちょっと都会人にはまねのできない、徹底してエコロジカルな暮らしである。

 ついでながら、島の人は水や電気だけでなく、時間の節約もとても上手だ。みんないつも手を休めず、糸をつむいだり毛糸を編んだりしている。人々はこれを、「働き者のインカびとの、直系の子孫であることの動かぬあかし」と考え、自慢にしているが、そういう手がたい暮らしそのものが、宣伝なしで観光客を引きつける結果となっているのもまた、たいへんエコロジカルである。


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