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「世界のウチ」

オランダにサンタクロースは来ない?!

2007年12月05日

オランダ・蛭田伊吹 クリスマスを楽しみマス

 オランダのクリスマスにはサンタクロースがやって来ない。じゃあ、子どもたちの夢はどうなるの? プレゼントは? いえいえ、ご心配なかれ! オランダでは、聖ニコラス祭の前夜(12月5日)が「ザ・プレゼント・デー」である。聖ニコラスの出自については諸説あるが4世紀にトルコの司教だったというのが有力で、サンタクロースの起原となった人物。オランダの子どもたちは、聖ニコラスがお供を大勢引き連れてスペインから舟に乗ってやって来ると固く信じている。

写真馬に乗って村を練り歩く聖ニコラスと黒塗りのお供たち。サンタクロースよりも威厳がある
写真えんま帳を開く聖ニコラス。子どもたちはドキドキしながら順番を待つ
写真送られた詩に照れ笑いのお祖母さんと、お供たちの格好に扮して顔を黒く塗った子供達
写真聖ニコラス祭のお菓子。この時期、ちょっとしたプレゼントとして相手のイニシャルをかたどったチョコレートを送るのが人気

 さてこの聖ニコラス、聖人だけあって単なるプレゼントおじさんではない。賢い彼は、早々と11月中旬にオランダに上陸すると、お供を使ってなんと子どもたちの日頃の所業を詳細に調べあげるのだ。そして当日、良い子にはプレゼントが、悪い子にはお仕置きが待っている。

 運命の12月5日。家には親戚一同が続々と集まっての大騒ぎとなる。聖ニコラス(に扮した近所の人)がやってくると、一年間いたずらに明け暮れた子どもたちは緊張の面持ちで一人ずつ彼の膝に座らされる。すると親から事前に話を聞いて何でも知っている聖ニコラスは「君はよく食べ残しをするのう」などと言い、子どもたちが震え上がると、すかさず「これからは好き嫌いを無くそうね」と念を押す。子どもたちが恐れている究極のお仕置きは、お供たちが持っている袋に放り込まれてスペインに連れて行かれることだが、大概は聖ニコラスの前で1曲歌わされたりする程度で許してもらえる。

 当日のパーティーでは、大人も子供を笑っているだけでは済まされない。聖ニコラスの正体を知っている大人たち(事実に気が付いた子どもたちも含む)は大人同士でプレゼント交換をする。そのために一族の大人たちは、事前にクジ引きで誰が誰のためにプレゼントを用意するかを決めておく。そして当日、ウィットに富んだ自作の詩を添えて贈る。実はこの詩がクセモノで、内容は聖ニコラスが子どもたちに言うことと同じように、贈られた本人にとって耳の痛いものでなければならない。その詩を皆の前で朗読すると大いに笑われ、本人は赤くなって頭を掻くことになることこそ風物詩なのだ。その上、肝心なプレゼントは家のどこかに隠されていることが多く、贈られた本人は、冷やかされながら詩に隠されたヒントを頼りに家中を探し回る羽目になる。

 サンタクロースは来なくても、子どもも大人もみんなハラハラドキドキの聖ニコラス前夜祭。長く暗い冬も、家の中はにぎやかな笑いで満たされる日なのだ。


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