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「世界のウチ」

電飾に燃えるアメリカ

2007年12月08日

米国 ユカリ・トラビス クリスマスを楽しみマス

 世界広しと言えども、アメリカほどクリスマスの飾り付けに力を入れている国は他にないのではないだろうか。

写真「アッパー・ヘイスティング・ランチ」にある住宅の豪華なデコレーション。(写真はすべてロサンゼルス近郊在住の小林まちこさん撮影)
写真付近にあるBalian Houseと呼ばれるクリスマスデコレーションで有名な家。1万個もの豆電球が取り付けられているという。
写真イルミネーションを施した家々は美しいが、一晩中灯りをつけっぱなしにするので電気消費量も相当なもの。地球温暖化への影響がつい心配になる。

 この国では一般家庭でも、家の中はもちろん、屋外にも派手な飾り付けを行う場合が非常に多い。ドアに真っ赤なリボン付きのリースを吊り下げ、窓の周囲を豆電球で張り巡らせるくらいは当たり前。12月ともなると、ロサンゼルス市東部にあるわが家から高速入口までの寂しい2車線道路ですら、屋根の上できらきらと輝くトナカイの群れ、植木にかぶせた網状電飾の明かりに浮かび上がる紅白キャンディケーン(つえの形をしたキャンディー)、ブロック塀の上でなんとかバランスをとっている天使などによって、クリスマス気分満点に演出されてしまう。

 しかし、これらは控え目な方で、もっと激しい飾り付けをするご近所集団もたくさんある。

 ダウンタウンから車で30分ぐらいの所に「アッパー・ヘイスティング・ランチ」という住宅地があるのだが、そこの飾り付けを見た時には仰天した。1、2軒ではない。数ブロックにわたるご近所のほぼ全家屋にこれでもか! というほど大量の豆電球が取り付けられている。家々の前庭には頭や手足が動く電飾トナカイロボット、芝生に敷いたレールの上をグルグル回る電車、大人の身長の2倍はある風船サンタなどが所狭しと置かれ、まるでクリスマス装飾品の展示会場のよう。狭い歩道はわざわざ車でやってきた見物人で大にぎわいで、まるでテーマパークのような雰囲気だ。

 それにしてもこれだけの飾り付けをするには大変な労力がかかるはずだ。家の中に入ってしまえば本人には見えない屋外の飾り付けに、なぜアメリカの人々はこれほどまでに力を入れるのだろうか。

 知人に尋ねたら「それがクリスマス・スピリットというものだ」という答えが返ってきた。「クリスマスに大切なのは分かち合いの精神。だから飾りも外に出して皆でシェアしよう」ということらしい。

 だが、本当にそれだけだろうか。 

 例えばアッパー・ヘイスティング・ランチの飾り付けはすっかり有名になっていて、地元新聞や雑誌には紹介記事が出る。毎年集まる見物人の手前、もう引っ込みがつかなくなっているのではないだろうか。ロサンゼルスには他にも電飾の名所がいくつかあり、テレビでも素敵なデコレーションの家を天気予報と一緒に紹介している。そんな番組を見て「あれに負けられん!」などと競争心を駆り立てられた人が、延長コードの重い束を担いで決死の覚悟で屋根に登っている可能性もある。

 クリスマススピリットも、それが義務や競争になってしまったら楽しくない。もちろんロサンゼルスという土地柄、自己表現欲旺盛な映画関係者がわが家を飾るのを毎年純粋に楽しんでいるというケースもたくさんあるだろうとは思うが……。

 街中に日々増えていく豆電球を眺めながら、「飾りのおすそ分けありがとう。でも無理しないでね〜」とつぶやくこの頃だ。


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