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「世界のウチ」

疲れるクリスマス

2007年12月19日

フランス・夏樹 クリスマスを楽しみマス

 フランスに暮らすようになって、はや18年。いまだかつて、「私、クリスマス大好き!」という人に出会ったことがない。なぜ、ここまでクリスマスは嫌われるか? 私が考えた、その理由3点を、ここにあげてみる。

写真とっておきのきれいな銀の食器の出番。でもこまめに磨かなくてはいけないし、皿洗い機に入れたら傷むので、手入れがたいへん。
写真個性の強い、おしゃべりな人同士を隣り合わせにするとたいへんなことに……。そうならないように、誰がどこに座るかを決めるのは女主人の役目。
写真デパートはウィンドーに趣向を凝らして、子どもたちの限りない欲望をかきたてる。

 まず第1点は、クリスマスは家族や親戚と過ごす、という習慣によるところが大きいようだ。子どもたちにとってはプレゼントをもらえる幸せな時であっても、おとなにとっては、親戚間での力関係が表面化する試練の時でもある。

 誰と一緒にクリスマスイヴの晩を過ごすか、会食者の選択の時点から、試練は始まる。遺産相続のいざこざで喧嘩してしまった姉とは絶対会いたくない、という人もいるだろうし、離婚したカップルの間で、子どもが父親とクリスマスを過ごすか、母親と過ごすかでもめることもある。だいたい1カ月前から、人々はこの問題に頭を悩ませ始める、と言っても言い過ぎではないだろう。

 そして当日、12月24日の9時頃、晩餐開始。家族・親戚といっても、他の集りとなんら変わるところはなく、意地悪な人もいれば、わがままな人もいれば、図々しい人もいて当然。テーブルの向こうから姑が投げかける嫌味な一言にがっくりすることもあれば、ここ30年間、同じ下品なジョークを言ってみんなをげんなりさせる叔父もいる。食卓で繰り広げられる、ありとあらゆる人間ドラマに耐えられるタフさを要求される。

 第2点は、胃にもたれるクリスマスディナーだ。前菜のキャビア、生ガキのあたりで、だいたい普通の日本人なら「もうおなかいっぱい」と思うはず。しかし、その後、ホタテ貝、伯母さんがもってきてくれた伊勢エビ、お父さん手作りのフォアグラ、それから、パテ、七面鳥のロースト、チーズ、デザート。11時を過ぎると満腹で、座っているのも辛くなってくる。「クリスマスディナーのせいで太ったあなた、どうやせる?」という記事が女性雑誌に満載される時期でもある。

 第3点は、プレゼント購入という大出費。会食者全員とは言わないまでも、招待してくれた家の人々全員にプレゼントを用意するのが普通である。それぞれの趣味を考慮して、7個も8個もプレゼントを買うために師走の街を駆けずり回るのは大仕事。そして、揚げ句の果て、「お義姉さん、変なプレゼントくれたわ。趣味悪いって前々から思っていたけど」とまで陰口たたかれては、立つ瀬がないというものである。


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