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アメリカに見る鳳凰殿の面影

2008年1月19日

  • 筆者 アメリカ・片瀬ケイ 海の向こうのジャポネスク(後編)

写真カリフォルニア州にあるクラフツマン様式で有名なギャンブル・ハウス。1908年に建設された。今では一般公開しており、多数の観光客が訪れる。写真鳳凰殿とまではいかないが、近所の豪邸の中に日本的な建築様式のクラフツマンを発見。石灯篭まである。写真クラフツマン様式の家では、むき出しの梁や垂る木がデザインのアクセントだ。写真ウチのリビングの天井。化粧梁だけど、天井だけはギャンブル・ハウス風?

 1900年以前に建てられた家は、アメリカでも中世ヨーロッパの城や教会を思わせるようなとんがり屋根のチューダー様式や、塔や出窓がついたクイーン・アン様式など、飾りの多い住宅が目立つ。

 こうした華やかな住宅にくらべ、ウチの近所に多い1900年〜1930年頃に建てられたクラフツマン(職人)と呼ばれる建築様式の家たちは簡素で素朴だ。本を伏せたような山形で、ゆるやかな斜面の切り妻屋根を持つ平屋が典型的な形で、木や石など自然素材を多用する。クイーン・アン様式の家に住んだらお姫様気分になれるのでは? と憧れたこともあったが、実際にクラフツマン様式の家に住むと妙に落ち着くのだ。

 それもそのはず、クラフツマン様式は日本やアジアの建築に影響を受けている。クラフツマンはもともと、イギリスで19世紀の産業革命時に起こった「アーツ・アンド・クラフツ運動」に由来している。この運動は、大量生産の流れの中で職人の復権や芸術や手工芸、自然との融合を目指したものだった。1901年に、カリフォルニアの建築家が雑誌「クラフツマン」の中で、当時イギリスではやっていたインド・ベンガル地方の住宅とアート・アンド・クラフツ運動のデザインを合体させたバンガローを紹介し、アメリカでもクラフツマン様式が大人気となった。

 洗練されたクラフツマン様式の設計者として有名なグリーン兄弟は、1893年に開催されたシカゴ博覧会に日本が出展した平等院鳳凰殿を模した日本館や、1904年のセントルイス博覧会で寝殿造りの釣殿風の日本館を見て、大きな影響を受けたらしい。

 グリーン兄弟の建築で最も有名なものは、カリフォルニア州パサディナにあるギャンブル・ハウス。ここは100年前の大富豪、プロクター&ギャンブルの2代目社長夫妻の家で、今は国の指定歴史的建造物として公開されている。木をふんだんに使い、桁(けた)や梁など木と木のつなぎ目も自然の装飾として生かし、庭には石灯籠なども配置されている。

 ギャンブル・ハウスとでは比べ物にならない拙宅にも、木がふんだんに使われており、無駄な装飾はない。ご近所のクラフツマン様式の家にも、ひさしのように突き出した屋根や、日本の寺院の連想させるような屋根など、鳳凰殿の面影を見ることができるのだ。

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