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伊勢うどんがルーツです

2008年1月26日

  • 筆者 ベトナム・松野泰子 海の向こうのジャポネスク(後編)

写真16世紀に日本人が建てたといわれる日本橋。現在も内部を見学することができる。提灯に「ホイアン」と日本語が書かれている。写真伊勢うどんがルーツといわれるカオラウ。ハーブや豚肉がたっぷりで似ていないように思えるが、少量のしょうゆだしにからめて食べるところなど、どこか懐かしい。写真ホイアンはその町並みが世界遺産としても指定されており、西洋人を中心に観光客にも大人気。

 ベトナムの観光地のひとつに、ホイアンという中部の街がある。16世紀から17世紀には貿易港として栄え、商人として来航した日本人が独自の日本人町を作っていたこともあり、日本にゆかりの多い地として有名である。古い木造の家々や和紙で作られた提灯が軒先に並ぶ、古都らしい風景は、現在も美観地区のように保存され、観光名所となっている。

 そんなホイアンの名物料理といえば、この地のおいしい井戸水を混ぜて作った麺「カオラウ」。ベトナムでは珍しいほど、かなりコシの強い麺に、甘辛いしょうゆベースのたれを少量加え、上にせんべい風の揚げ餅、豚バラ、香草類が載る。全体を少なめの麺と絡めて口にほお張れば、ベトナム独特のハーブの香りがふわっと口の中に広がり、もちもちとした麺の食感に甘辛いたれの風味が混ざり合い、何とも言えないおいしさだ。仕込みは各家庭でひっそり行われ、路上や市場前の狭いスペースで簡易のカオラウ屋台が出るが、店により味が少しずつ違って食べ比べるのも面白い。

 さて、このカオラウ、実は伊勢うどんがルーツだと言われている。冒頭に書いたように、江戸初期、朱印船貿易の時代に船に乗ってやって来た商人たちが、故郷の味を懐かしみ、しょうゆだれで食べるうどんのような麺を作った。これがカオラウの生まれだというのだ。実際のところはわからない。見た目もそんなに似ているとは思えないし、食べてみればカオラウはハーブといい、豊富に載せられた具材といい、唐辛子といい、あくまでベトナム料理に違いない。それでも、ふにゃふにゃの腰砕けのような柔らかいフォーを愛する国民性の中において、こんなにしっかりとした麺を食べようと思うにいたったなんて、もしかするとそれは日本人の趣向がどこかで入ったのかもしれない、とも思える。

 ベトナム料理は、中国、フランス、その他東南アジア周辺国の食文化の影響をたっぷり受けつつ自分たちの家庭の味に仕上げるというところがある。その中に日本の味がひっそり混じっていると思うのも、とにかく、なかなか嬉しいことである。

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