2008年2月6日
風まかせの風来坊風ながら、来る日も来る日もけなげに回る
海外で暮らしているとキッチンの小物から屋根の上にまで、「これ、なんだろう?」と不思議に思える物体をいろいろと発見できる。そんな日本ではあまり見られない「便利グッズ」や「愉快アイテム」を集めてみたい。
家々の屋根の上にポコッと乗った、摩訶不思議な物体。煙突にしては形が変だし、キノコにしては大きすぎる。もちろんバイオリン弾きではない(当たり前か)。じつはこれ、扇風機の遠い親戚筋にあたる「冷房器具」なのである。その名は「ルーフベンチレーター(換気塔)」という。オーストラリアのブリスベンではよく見られる物体である。
ブリスベンは亜熱帯に位置する。北半球と南半球の違いはあるが、緯度は沖縄とほぼ同じなので、夏は直射日光がほぼ真上から直撃する。放っておくと屋根裏の温度は60度くらいにまで上がり、その熱は当然、室内の温度にも影響する。
この屋根裏にたまった熱い空気を逃がせば、室内の温度も当然下がる。もちろん単純に煙突をつけるだけでも熱は多少は逃げるが、もっと積極的に熱に逃がすように、この「ルーフベンチレーター」が生み出された。上の球体のような部分を風車のようにクルクルと回すことで、強制的に熱を逃がすのだ。単に窓を開けて風を入れるよりも、ついでに扇風機も回したほうが涼しくなるのと、まあ同じだ。ただ扇風機が風を送るのに対して、この装置は熱を逃がすところが、まあ「逆転の発想」である。
「ルーフベンチレーター」には、自然の風まかせのものと電力を使う両方のタイプがある。自然の風まかせののほうは、まったく電気を使わないので、「これぞ究極のエコロジー」といった風情。だが、じつは風まかせで熱を逃がすため夏はいいが、冬になると暖房器具でせっかく温めたそばから、室内の空気を外に出してしまうという欠点がある。一生懸命アツく語っているのに、「どこ吹く風」と受け流されているようなむなしさを感じずにはいられない。
実際に風まかせ式のものを導入した友人に、夏に話を聞いたところ、「ルーフベンチレーターは最高だよ」。ところが冬になると「ルーフベンチレーターは最低」。180度意見が変わるあたり、まるで風見鶏である。
それでも風まかせを好まない向きには、電力を用いるタイプがある。必要なときだけ回し、そうでないときは止めておくハイテクタイプ。これならば「夏は涼しく、冬は寒く」ということもない。
しかし個人的には、「答えは風に聞いてくれ」とつぶやく風来坊のような「風まかせタイプ」に親近感を持ってしまう。