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バスルームにあるクローゼットの穴

2008年3月1日

  • 筆者 カナダ・西川桂子 未確認絶好物体

写真この穴は何?写真3人分を2日ためた量。脱衣所と洗濯機が隣接していないと、移動だけで体力を使う。

 義父母の家のバスルーム。クローゼットのドアを開くと、一番下の段は空っぽで、なぜか穴が開いている。中をのぞくと、地下室の洗濯機が見える。

「何だ、この穴は?」と驚く私に、「洗濯物はそこから落とすんだよ」と夫が声を掛けた。なんとこの家には脱衣カゴはなく、入浴するために脱いだ衣服、下着はそのまま洗濯機の上に着地するシステムだったのだ。

 冬の寒さが厳しいカナダでは、乾燥機の使用が一般的だ。夏ならお日様の下で洗濯物を干すこともできるが、ほとんどの地域では冬は乾燥機がなければどうしようもない。

 夏も面倒だからか戸外に干さずに乾燥機のお世話になる人が少なくない。そのためだろうか。洗濯機、乾燥機はベースメントと呼ばれる地下スペースに設置していることが多い。日本のように脱衣場のすぐ横に洗濯機はないのだ。

 結果、洗濯物を入れたランドリーバスケットを抱えて、ベースメントに下りて、洗濯。終わったら、えっちらほっちら、階段を上る必要がある。

 夫は6人兄弟と、大家族出身だ。洗濯物の量も恐らく半端ではなかったのだろう。義母は雑誌である日、浴室のクローゼットに穴を開けて、そのままベースメントに落とすという話を読み、これだ! と思ったそうだ。

 慣れていない私は、下着を穴から落としても洗濯機にうまく着地せずに、「床の上に転がっているのでは?」と想像してしまう。どうも居心地が悪いが、夫は「汚れた衣服が山積みになりすぎたら、落ちることもあるが、普通は大丈夫」と慣れたものだ。「脱いだ順番ではなくて、下着を先に落として、その上に洋服を載せるようにすればいい」と、コツまで伝授してくれた。

 ちなみに、今でこそ、子どもたちが独立して洗濯物の量が少なくなったため、洗濯機の位置をずらして、そのまま機械の上に落ちるようにしているが、かつては、大きなバスケットを置いていたそうだ。バスケットだと、着地した後、床に落ちることはまずないとか。

 私の父はマメな性格で、汚れた衣服も軽く畳んで、ランドリーバスケットに入れる。バスルームの穴から「洗濯物をぞんざいに落とす」というのは、私にとっては子どもの頃から培われたしつけから逸脱した方法だが、「郷に入っては郷に従え」と自分に言い聞かせている。夫に「洗濯済みの衣服ならともかく、これから洗うんだから、バスケットに投げ込んでいいじゃないか」と言われながら、確かに手間は省けると便利さには合意している。

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