2008年3月19日
居間のかたすみの、ありふれたベンチに見えるが…
実は、大容量の収納家具なのである。
写真を見る限り、「ただの木のベンチじゃないの、どこが未確認物体なの」と思われるかもしれない。でもこれは決して、そこらへんのありふれたベンチではない。罪のないコロニアル風家具とみせかけて、実は人々の好奇の目から家庭の秘密を守りぬく、心強い味方、あるいは共犯者なのである。
ただのベンチとの違いは座る部分にある。一見固定されているようにみえる、厚い板をはねあげると、中が大きな「長持」になっているのだ。平時ならば、そこに電話帳や、季節はずれのカーテン、暖炉の薪など、かさばるものをしまうのに重宝する。でもこのベンチが本当に役立つのは、急なお客が来た非常時である。
たとえ、家を散らかし放題にしている休日に、町内一うわさ好きの隣人が、突然訪ねてきたとしても、このベンチさえあれば慌てることはない。来客には「いま揚げもの中なので、ちょっとだけ待ってくださいね」とでも声をかけて、確保した数分のあいだに、そのへんにごたごたと置いてある、人目に触れさせたくないものを、次々とベンチの中に放り込めばいいのだ。
たとえば、とてもくだらない本とか、まだ午前中なのに、栓が抜いてあるワインの瓶。そういった都合の悪いものは、すべてベンチの中にそのまま入れて、ぱたんとふたをし、上にクッションでものせればもう大丈夫。いかに詮索好きな隣人でも、他人の家のベンチの中まで疑う人は、ふつういないからだ。それでもなお不安なら、自分でベンチに座りこんで接客すれば万全だ。また、来客前の混乱状態に復帰させたいときも、このベンチひとつを空ければ済む。
なお、ベンチの内部はとても大きく、それこそ人ひとりが、しばらく潜伏していられるほどの、たっぷりした容量がある。したがって、上記の例に限らず、もっとさまざまな不都合なものを隠すことも可能であるが、そのあたりは皆さまのご想像におまかせしたい。