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「世界のウチ」

デザート・クーラー

2008年03月26日

インド・冬野花 未確認絶好物体

 酷暑期の北インドは気温48度を超すこともあり、世界一の暑さといっても言い過ぎではない。だが、それほどの暑さにもかかわらず、エアコンはまだまだ、お金持ちしか持つことができないもの。また、ほかの物価に比べて電気代が非常に高いため、「エアコンを買えてもオンにはできない」という泣き笑いの状態で、庶民にはなかなか手が出ない。

写真夏のインドの住宅街を注意して見渡すと、そこら中の家の窓にこれが設置されている
写真見かけはただの大きな箱。上の階では窓にとりつける
写真この巨大な箱のおかげで、エアコンのない人々は酷暑期を乗り越えることができる

 そこで、活躍するのが「デザート・クーラー」。インドの夏の代名詞と言ってもよく、今よりさらにエアコンが少ない時代から大活躍してきたものだ。酷暑期になると、そこら中の家で朝から晩までひたすらに回りまくっている。

 「回りまくっている」といったのは、これが実際に「回る」ものだからだ。かなり図体のでかい四角い箱で、中にファンがついている以外はほとんど空洞。スイッチをオンにすると、「何もそこまで躍起にならなくても……」というくらいファンが高速回転する。音もすごい。まるで、プロペラ飛行機が目の前で回っているかのようで、BGMを流すような優雅な暮らしなどにはほど遠く、会話すら叫び口調でしなければならないほどだ。おかげで箱から出る風は、バイクに乗って髪がバタバタはためいている時のように強力である。

 仕組みは子供でも作れるほど単純で、巨大扇風機が箱で囲われただけのものといってよいのだが、それではただの扇風機。デザートクーラーが扇風機と違う点は、水の気化熱を利用することにある。箱の側面の内側には、布団状に固めたワラのようなものが入っており、そこに水を含ませる仕組みになっている。つまり、高速回転するファンに吸い込まれた外の熱い空気がワラの層を通る時に、ワラに含まれた水の気化熱で冷やされる構造だ。

 冷えると言っても、エアコンの風ほど冷たいわけではないが、連日45度近くある外気から比べれば、格段に心地よい風が送られる。

 ちなみに「デザートクーラー」(砂漠のクーラー)と言われるゆえんは、これが4〜6月の乾季にしか有効でないから。雨季はすでに空気中に水分がたくさんあるため、ワラに含んだ水分が気化できず、湿った暑い空気をそのままかき混ぜるだけの箱と化してしまう。雨季は雨季で暑いインドであるが、エアコンがない家は、天井のパンカー(扇風機)だけで蒸し暑い季節を乗り越えなければならない。


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