2008年4月30日
バルコニーの奥にコンロとオーブンがある
反対側には洗濯物とパプリカの詰まった箱
家の中のキッチン
集合住宅のバルコニー、ガラス張りが多い
ブルガリアのキッチンは、家の内と外に分割されていることがよくある。どういうことかというと、通常のキッチンが家の中にあるのはもちろん、さらにバルコニーの一角にもオーブンや電気コンロなどの調理設備が置かれているのだ。ブルガリアで知人宅を訪れると、わかっていても慣れるまではその位置関係に戸惑う。
キッチンにバルコニーが併設されているのが一般的な間取りで、魚を焼く時など、匂いや煙の強い調理になるとバルコニーのコンロを使うようだ。日本人が縁側に出て七輪で秋刀魚を焼くのを想像すると感覚としては何となくわかるのだが、日本の場合はそのときだけのこと。ところが、ブルガリアではそれが常設、かつ頻繁に使うものになっている。揚げ物などもフリッター(炊飯器のような形をした揚げ物専用の電気調理器)をバルコニーに置いている。シンクは内側のキッチンにのみついていることが多く、普通の調理は内側のキッチンでしているようだ。
この国の伝統的な民家の上階には、「チャルダック」と呼ばれる空間がある。地方によって呼び方は多少異なるが、屋根のある広いバルコニーを想像してもらえればいいと思う。チャルダックは、家事、ちょっとした作業、食事、くつろぎなどオールマイティーに使われる、日本の土間や縁側にも似た雰囲気を持つ空間。近代的な集合住宅にもチャルダック風のバルコニーがあり、それがキッチンとつながっている。
さらにチャルダックやバルコニーの側面をガラス窓で覆って温室のようにし、料理をする時だけその窓を開けている家もよくある。料理をしないときは洗濯物を干してバルコニー風に使うなど、個人が思うままに使う自由自在の空間だ。
ブルガリアの街を歩けば、必然的にたくさんのチャルダックとバルコニーを目にすることになる。冷蔵庫まで置いてあったり、カーテンがかけてあったり。料理をしている人や、そこで食事をしている人、おしゃべりをしている人、特に夕方は灯りのついたバルコニーがよく賑わっているのが見える。
友人がブルガリアを訪ねて来たときに、やはりチャルダック風バルコニーのある一軒家に数日、間借りをしたことがある。バルコニーには調理設備の他に小さなダイニングセットがあり、眺めの良いバルコニーでとる食事はとても気持ちが良かった。少し離れて洗濯物が干してあり、パプリカを積んだ箱が置いてあった。青空を見ながら、風に吹かれて料理をするのもなかなか素敵なものだ。