2008年6月11日
一見何の変哲もない、どこにでもある普通のプレハブ住宅
事実上の勝手口だが、これが玄関扉とは……
隣家の薪ストーブ。既にコレクターズアイテムか?
かれこれ20年近く前の話になるが、夫の両親は定年退職後、故郷であるニューブランズウィック州に家を新築した。建てたのは現代的なプレハブ住宅だが、土地の習慣にのっとった間取りの家だ。どんな習慣かというと、玄関のドアを開けて最初にある部屋はキッチン、というもの。北米開拓時代の名残なのか、はたまた農場経営者の知恵なのか、この辺りの家は「玄関ドアの向こうはキッチン」という間取りが多い。
しかも、キッチンにはでーんと鉄製の大型ストーブが鎮座しており、冬場はいつも薪が燃えている。外から戻ってまず、暖かいキッチンでストーブにあたり、雪や雨でぬれた手袋、靴を乾かしつつ熱いコーヒーをすする……というのが当地流らしい。暖房と調理道具を兼ねた、一石二鳥の発想だ。
でも、夫の両親は夫婦2人きりの暮らしで、農業もしない。アジアでの暮らしが長く、かなりの日本ひいきでもある。それなのに、そんな変な間取りでイヤじゃないのかと聞いてみたら、食料品の買い出しのことを考えると、玄関から一番近いのがキッチンというのは、なかなか便利なものらしい。玄関前に車を止めて、トランクからキッチンへひょいっと買い物袋を入れられる。これは楽だ。
拙宅などは両親の家よりずっと小さいにもかかわらず、キッチンが家の一番奥にあるため、買って来た食料品は、ガレージ→洗濯室→廊下(直進してさらに左折)→キッチンという長距離ルートで運ぶしかない。趣味がウエートリフティングなら、結構なトレーニングになるかもしれぬが、あいにく私にそんな趣味はない。なので、車から即キッチンというのは、かなりうらやましい。
それに、両親は専業主婦&主夫ゆえ、どちらかがキッチンにいる時間も長い。出かけていた相棒の帰宅が瞬時に確認できるし、来訪者にキッチンで応対できたりするのは便利だという。わざわざやって来る訪問者というのは何か手渡したいものがあるからで、キッチンドアからさっと受け取れば世話がなくて良い、とのこと。また、休暇などに長期滞在した家族(すなわち私たち夫婦)などが出発する際、ランチやスナック、飲み物など、渡し忘れ(もらい忘れか!?)がないのもうれしい。
さすがに彼らのキッチンに大型薪ストーブは置いていないが、きちんと土地の習慣にならった間取りの家ということで、転居後いち早く周囲の人々に受け入れられたのは言うまでもない。