2008年7月12日
アペリティフもさまざま、どれにする?
テラスで飲むアペリティフは最高!
ヨーロッパの夏の日は長い。
待ちに待った夏! フランス西南部に位置する観光地、オレロン島ではバニラやチョコレートなどスタンダードフレーバーに加えて、大胆にも「牡蠣(かき)味」や「イワシ味」のソフトクリームなども露店に並び、お天道様に照らされた人々にひとときの涼しさを提供している。しかし、フランスではガンガンに冷房の入った場所は無いし、カフェも屋内よりも陽のあたるテラス席が断然人気だ。
フランスの夏は、日中は30度を超しても湿度が低いので、日陰に入れば涼しく、朝夕は気温が下がり、爽やかで心地が良い。「暑さを避ける」という意識はフランス人にはあまりないようだ。人々は「暑い、暑い!」と言いながらも、いたく嬉しそう。夏は暑くなくては意味が無い。7、8月ともなると「太陽ロード」と呼ばれるパリから地中海に向かう高速6号線には車がひしめき合い、人々は日射しを求めて南下する。「美白」などと言うコンセプトはこの国ではなりをひそめ、老いも若きも最大限の露出度で熱き夏を謳歌する。
それでも柔らかい陽射しが長い影をかたどる頃になると、「ああ、今日も暑かったねぇ」と言いながら食前酒をテラスで飲むのが夏の醍醐味。アペリティフと呼ばれる「食前酒」の時間は、フランスではかなり重要で、レストランでは着席するとまず聞かれるのは「アペリティフは何にしますか?」だし、各家庭では何種類もアペリティフ用のお酒を常備している。
カシスのリキュールを白ワインで割った「キール」はブルゴーニュ地方特産の食前酒。キリッと冷えたルビー色が美しい。南仏出身の「パスティス」はウイキョウのリキュールで、氷と水で割って飲む。クセがあるが、慣れるとコレが病み付きになる。暑い時ほどおいしく、喉の乾きを潤す。夏の夕刻に「ペタンク」というフランス人が大好きな玉転がしスポーツをやりながらパスティスを飲めば「絵に描いたフランス人」。ウイスキーやビールも学生の大好きな食前酒だ。食事用のワインをアペリティフタイムからひっぱると言うパターンもアリだし、特別なパーティーの時はシャンペンも選択肢にあがる。
年間を通して存在するアペリティフタイムだが、夏のそれは開放的でことさら陽気だ。緯度の高いヨーロッパの夏の空は夜の9時を過ぎても暮れることを知らず、熱のない光が美しい。フランス人の「夕涼み」はいつまでも明るい空の下で楽しいおしゃべりとともに長々と続くのである。