2008年11月5日
街並み/閑静なこの界隈は人気のエリア
外観・アプローチ
一階は家族の共有スペース。空間の広がりを感じる
天気のいい週末や夏の間、プライベートの庭があるのはうれしい
フランス第4の都市トゥールーズの人口は43万7千人(05年調査)。20年代にはかのサンテグジュベリやメルモーズが活躍し、今もエアバス社の本拠地があり、航空産業が盛んだ。宇宙開発、IT、医療に携わる国内外からの学生や研究者も多い。バラ色の街と呼ばれるこの街は歴史も深く、古代ローマおよびルネサンス文化の名残がある街並みは情緒が漂い、グレーの街から逃れてくるパリジャンも少なくない。付近にはフォアグラやトリュフなど、フレンチグルメの上質な食材の産地も点在し、イギリスやドイツなどからの移住者にも人気の地である。
そういった理由で、トゥールーズは毎年約7千人の転入者を迎える。その結果、住居は不足気味で貸手市場、賃料も年々上昇している。とはいってもパリに比べればまだリーズナブルで、予算15万円もあれば、アパルトマンなら市の中心部に、また多少離れれば一軒家も賃りられるだろう。ただ、賃貸物件は条件のハードルが高く、買うより困難とも言われる。借り主は家賃の最低三倍の“安定”月収と社会的地位のある保証人を求められ、フリーランスだとか貯蓄があって契約期間の全額を前払いできてもこの二つの条件がそろわなければ断られるケースもしばしば。フランスには冬の間(11月1日〜3月15日)、どんな理由でも借り主を追い出せないという法律があり、家主も慎重になってしまう。
さて、ブマチ夫妻は市街地からメトロで5駅の住宅街に暮らす。メトロの駅からも近い彼らのウチの家賃は1000ユーロ、日本円にして約15万円。市場価格より高めだけれど、センスのいい内装と設備の整うこの物件に割高感はない。夫妻も一目ぼれしたという。
一階にキッチン、ダイニング、リビング、二階に3寝室。建物は築2年になる全4戸の集合住宅だ。居住面積92平方メートルに150平方メートルの庭が付く。50平方メートルもあるガレージも魅力的である。
フランスでは、オスマンスタイルとはいわずとも、そこそこしゃれたものであれば古い物件にも高値がつく。
ちなみにオスマンスタイルとは、19世紀にパリ改造計画を推進した政治家の名に由来する。この都市計画により計画区画の建物は、新たに建設された並木の大通りに沿って、同じ高さで環境に調和したファサード(外観)を持つことをルールに建て直された。各建物のファサードは調和を保ちながらもおのおのに見事な彫刻が施されている。現在もパリの街を特徴づける建築様式である。多くはブルジョア層の住居であったことから、細部にいたってぜいたくな施しがみられる。後に、地方の裕福層もこぞってこの建築様式をまね、この建築様式はフランス中にみられるようになった。
といっても、古ければ良いわけでもない。水周りやセントラルヒーティングにまつわるトラブルの絶えないお国柄、かつ職人も不足している今日では、ブマチ夫妻の住まうようなモダンでメンテナンスに不安のない新しい物件が実際、一般的には好まれる。
機能的で“手のかからない”このウチを夫妻はたいへん気に入っていて、将来的にここで家族を増やす予定だとか。確かにこのウチ、2人暮らしにはもてあましてしまいそうな広さである。