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日本では入手不可なアレでホッとスタイル

2009年1月26日

  • 筆者 アルゼンチン・大田朋子 家族のホッとスポット

写真アサード奉行は「アサドール」と呼ばれる。写真肉の切り方が豪快!写真マンション住まいでも屋上にアサードができる場所がある。

 人口よりも牛の数が多いアルゼンチン。牛肉の消費量は年間1人あたり60キロという。サッカーよりも、タンゴよりも「ビーフ」なくして、この国を語ることはできない。「ビーフの国」アルゼンチンのホットスポットは、そのアルゼンチンビーフを囲んだ「アサード(Asado)」のある空間だ。

 アサードとは、スペイン語のAsar(アサ−ル:焼く、グリルする)を語源とし、一言で言うと、肉を炭火で焼く、つまりアルゼンチン流のバーベキュー。しかし、普通のバーベキューとは確実に一線を引いている。

 もともとアサードは、ガウチョ(南米のカウボーイ)が、野外で牛をまるごと焼いて食べていたことから始まったが、現在でも、ビーフの食べ方とそこから広がる世界には、牛を知り尽くす歴史と国民の真髄が見え隠れしている。

 特徴の一つは、その豪快さ。なんといっても、肉の切り方から違う。牛肉は2、3キロの塊で焼くのがアルゼンチン風。そして、食べる牛の部位の種類がケタ違い。アバラ肉、バシオ(お腹の肉)、モジェッハ(甲状腺)からはじまり、チンチュリン(小腸)、リニョン(腎臓)などの臓物など、牛をすみずみまで味わいつくす。また、残念ながら日本ではまだ輸入解禁になっていないが、アルゼンチンビーフそのものが非常においしく、肉の味を堪能できるよう塩とレモンでシンプルに味付けするのが流儀。

 アサードの調理法は、肉に粗塩をまぶして炭火でじっくりあぶり焼きする、といったシンプルなものだが、そのじっくりさが、半端ではない。短期的な見方が横行しているかに見えがちなこのラテン国民性の、どこにそんな忍耐があるのかと思ってしまうが、アサードは1日がかりで楽しむものであり、「早さ」や「効率」という概念から一番遠いところに身と心を置くことを意味する。実際、肉の本質を引き出すためにあそこまで時間と忍耐を惜しまないアルゼンチン人のアサードへの姿勢は、彼らの人生の奥行きに通じるものがある。

 アサードをする。それはアルゼンチン人にとって、たんに肉を焼いて食べることではなく、日常の時間の流れにパウサ(一時停止)を置き、家族や友人との時間を通して、生きるっていいなあという思いをあらたにさせてくれるときなのだ。アサードのあるところ、胃袋のみならず、心も体も満たされホットになる時間と空間がそこにある。

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