現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 住まい
  4. 世界のウチ
  5. 記事

侵入者は人間以外にも? 「キャトルグリッド」の効用

2009年6月20日

  • 筆者 アイルランド・小島瑞生 安全第一!

写真家の門前に横たわる「キャトルグリッド」。動物でなくても、渡る時はちょっと恐々……写真別の草地へ移動中のウシたちの列

 アイルランドの、しかもひなびた地域へ行けば、近所同士の付き合いも濃くなるため、その分セキュリティーの面でも安心できるように思える。とはいえ、安全で平和なこの国でも空き巣狙いや車上荒らしなどは年々増えており、物騒になってきているのは否めない。そこで私の在住する住宅街では、最近隣保会のようなものができ、定期的に近所の人々や地元警察の人と話し合いを持つようになった。

 ところでアイルランドの場合、“侵入者”は何も人間だけとは限らない。先日、牧歌的風景が広がる田舎の村に住む知人、ローズを訪ねた。彼女の家の敷地内へ入ろうとすると、その敷地内入り口に1メートルぐらいの深さの大きな溝があり、その上に鉄製パイプのような鉄格子が横たわっている。格子の幅はそれほど広くないため、車が通過するのは難くないが私のように足が小さいと、この鉄格子のすき間にはまって転びそうで緊張してしまう。

 入り口に横たわる鉄格子は『キャトルグリッド』と呼ばれ、動物の侵入防止のためのものだ。動物といってもウサギやタヌキといった小動物ではなく、ウシやヒツジといった家畜が入ってこないようにということらしい。牧畜業が盛んなアイルランドでは、こういった家畜たちが牧場から牧場へ移動する際に公道を通ることが多い上、牧場の柵のすき間などから脱走しては、道端や民家で文字通り“道草を食って”いたりする。そういった動物たちによる侵入防止に役立つのがキャトルグリッドなのだ。特にひづめのある動物たちにとって、キャトルグリッドの上は非常に歩きづらいのだろう。

 実際、このキャトルグリッドがなかったために、動物の侵入にあった友人もいる。地方の小さな村に在住するこの友人はある時、台所で洗い物をしていると何かに見られている気配がしたそうだ。そこではっと目の前の窓を見ると、そこから馬の長い顔が家の中をのぞきこんでいたらしい。声も出ないほど驚く友人を尻目に、その後も馬は悠々と家の周りを散策してどこかへ去っていったという。

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

提携サイトで探す

  • 全国の売買物件をお探しの方
  • 全国の賃貸物件をお探しの方
  • 不動産を売却したい方
  • 不動産会社をお探しの方