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車がなくても快適生活

2010年1月27日

  • 筆者 ドイツ・小室大輔 ちょっと変わった好条件

写真外観に変化を持たせた現代的な低層の集合住宅群写真子供を自由に遊ばせることのできる空間を持つ連棟住宅写真静かで快適な居住空間にご満悦な友人ルッツと1歳のアーロン写真自家用車なしでも快適な生活を楽しむ友人家族

 アウトバーンが張り巡らされている自動車大国のドイツは、自家用車の所有率が高いと思われがちだが、人口の多い都市部では車を持たない人の割合も意外と高く、大聖堂で有名な100万人都市ケルンの中心部に住む人たちは、その半分以上が車のない生活をしている。実際、私の友人や知り合いの家族のほとんどが自家用車を持っておらず、何人かと一台を共有したり、レンタカーを利用しているのが現状だ。

 こういった自家用車を持たない生活形態がドイツで広がり始めたのは1980年代くらいからであろう。その数は決して多くはないが、車の乗り入れを制限した住居団地がドイツの各地でつくられてきた背景がある。ケルンに完成した「シュテルヴェルク60地区」もその中の一つだ。ここはケルンの中心部から地下鉄で10分程度のところに位置しているため、大都市における先駆的な事例として注目を集めている。

 早速、現地を見に行ってみると、車の乗り入れができない分、集合住宅が密に配置されている。しかし、その間には小さな広場が点在し、遊具やベンチも設置されているから、子供にとって家の外は全部が遊び場だ。引っ越して来たばかりの家族は、一階の玄関先で子供たちを遊ばせながら、隣近所の人たちと歓談している。陽気な人が多いケルンでは、そんな人たちに声をかけるのはたやすいことだ。

 雑誌や企画などのデザインを手がけているという男性は、「街の中心まで地下鉄で10分のところに、こんなぜいたくな居住空間があるなんて最高だよ。この環境と車のどちらが大切かと言ったら、もちろん住まいの方だね」。確かにその通りだろう。そんな話を子供が生まれたばかりの友人夫妻に話したら、早速、この住居団地内の賃貸物件を見学しに行き、2009年の秋には本当に引っ越してしまった。

 「いろいろな物件を見たけれど、ここは家の外も公園みたいなところだから、子供を自由に遊ばせることができるし、車の乗り入れが禁止といっても、これまでずっとレンタカーを借りてきたから何の問題ないよ。住み心地は静かで最高だね」。確かに、この地区には何となく柔らかな雰囲気が漂っているように思う。それは車に気をつける必要もないし、騒音の問題もないからだろう。適度な密度も安心感を与える要素かもしれない。

 車は確かに便利だ。でも、公共交通機関が発達しているドイツの都市では、車の乗り入れを禁止したちょっと不便な居住環境も好条件の一つとして受け入られる土壌がすでにできているようだ。

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