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引っ越しは清く正しく堂々と

2010年3月17日

  • 筆者 ペルー・原田慶子 さあ、引っ越しだ

写真トラックで入り口付近が完全に死角に入ってしまったアパート 写真これは引っ越し?修理?それとも廃品回収?一見しただけでは分からない 写真こちらは引っ越し作業中 写真荷台に作業員を乗せたまま立ち去ってしまった。たとえ許可証があっても、違う意味で警察に止められそうだ

 ペルーには引っ越しだけを専門に行っている業者はまだ少なく、一般貨物運送と引っ越しを両方請け負う業者がほとんど。だから家の前にトラックが止まっていても、これが引っ越しトラックなのかただの配達なのか、一見しただけでは分からない。手際よく荷物を運び出したりしていれば普通は引っ越しと思うだろう。実は依頼主不在の荷出し、泥棒かもしれないのである。

 残念ながらペルーには、留守宅を狙って家財一式を丸ごと持ち出してしまう大胆不敵なやからがいる。家の前にトラックを横付けして死角を作り、事前に準備した合鍵で堂々と出入りされてしまったら、誰も不審に思わない。被害届を受けた警察は、どこへ行ったか分からないトラックを追って奔走する。

 逆を言えば、自分の意思で引っ越ししているにもかかわらず、泥棒と勘違いされることもあるわけだ。運搬の途中で警察に止められ、「これは本当にお前の荷物か?」としつこく尋問される可能性もある。トラックの中身が誰かの被害届に似ていたら、もっと大変だろう。新生活に一気にケチがついてしまうかもしれない。

 こんな不幸を避けるために、ペルーには引っ越しのための許可証なるものがある。いつ、どこからどこへどんな荷物を運ぶかを事前に最寄りの警察署に届け、その引っ越しを承認してもらう。運搬の途中で警察官にとがめられた場合には速やかに提示し、荷物の正当性を証明する。これで無事、身の潔白が証明される。世知辛い話だがペルーでは絶対必要なもの、引っ越し時の注意点として、時折新聞にもこの許可証のことが書かれている。

 また、賃貸物件から引っ越す場合には、許可証の発行に際し、貸主の署名が求められる。すなわち、家賃や光熱費をはじめ、借り主の債務が引っ越し前にすべて清算されていることを証明しなければならない。泥棒や夜逃げの類と疑われないよう、まずは自らの襟元をただす。清廉潔白、これがペルーで堂々と引っ越しをする条件なのだ。

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