現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 住まい
  4. 世界のウチ
  5. 記事

浮島でゆらゆら、トトラの家

2010年6月9日

  • 筆者 ペルー・原田慶子 ちょっとエコロジー

写真真っ青なアンデスの空と湖に挟まれた浮島、ウロス島写真まるで物語に登場しそうな可愛らしいトトラの家写真小さな電球がぶら下がっているこの家のベッドも、もちろんトトラ製だ写真観光客に配慮してか、ソーラーパネルの支え棒にトトラを巻いている家もあった。

 鉄筋コンクリートの高層アパートからアドベ(日干しれんが)の家、はたまたセルバ(ジャングル)にあるヤシの家まで、様々な建築様式の住宅が存在するペルー。その中で「エコな暮らし」と言えば、まずウロス島を挙げるべきだろう。ウロス島は、ペルー南部とボリビア西部にまたがるティティカカ湖に浮かぶ40ほどの浮島の総称で、世界中の観光客が訪れるペルー有数の観光地でもある。

 トトラと呼ばれるアシに似た植物を積み重ねて造られるこの浮島は、フワフワとした踏み心地で少々心もとなく、このフワフワに足を取られた観光客がよくつまずいたり、尻もちをついたりしている。確かに島の端に近づきすぎると床を踏みぬく危険もあるそうだが、トトラを何重にも積み重ねてあるのでそう簡単に浸水することはない。

 その浮島に住むウル族の家も、もちろんトトラ製。接着剤や塗料などを一切使わず組上げたトトラの家は、当然ホルムアルデヒドなどの化学物質による問題もない。新築や増築はもとより、島の住人が増えた時は、トトラを足して新たな「土地」をつくり、独立したい時は浮島を切り分けて「土地の分割」も可能。何をするにもすべてがトトラ。身の回りにふんだんにあるトトラを利用するこの暮らしは、経済的かつとてもエコな暮らしなのである。

 また日本でもその導入が急速に進み、2009年には国による補助制度も登場したという住宅用太陽光発電システムだが、ここウロス島ではずいぶん前からその恩恵にあずかっている。1990年代にフジモリ元大統領によって導入されたというソーラーパネルは、それまで日の出とともに活動し、夜はロウソクのわずかな明かりに頼るしかなかった人々の生活を大きく変えた。細い棒の先にちょこんと乗った目立たないソーラーパネルだが、そのおかげで今ではテレビやラジオはもとより、携帯電話まで所有する島民も少なくない。観光という視点から見るとこうした変化はあまり好ましくないのかもしれないが、環境にも優しく住む人の暮らしも助ける自然エネルギーならどんどん取り入れるべきだ、と私は思うがいかがだろうか。

 自然素材のトトラは時と共に劣化していくため、浮島も住宅も常に新しいトトラを補強し続けなければならない。重機など持ち込めぬ浮島で、トトラを刈り採り、束ね、積み重ねていく作業はなかなか骨の折れる仕事だろう。しかし都会とはまた違った時間が流れるこの島では、先を急ぐことはない。古くなったトトラが水中で朽ち果てて分解され、次のトトラを育てる土壌となるスピードに合わせ、のんびりとメンテナンスをしていけばいい。こんなゆったりとした時間の流れも、浮島でのエコな暮らしを支えているのだ。

検索フォーム

世界のウチ バックナンバー


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

提携サイトで探す

  • 全国の売買物件をお探しの方アットホームスーモ
  • 全国の賃貸物件をお探しの方アットホームスーモ
  • 不動産会社をお探しの方アットホームスーモ

あなたの希望に沿った不動産情報・マンション情報を検索!

カテゴリ
都道府県

あなたの希望に沿った不動産情報・マンション情報を検索!