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ゴージャス!給水塔ライフ

2010年9月8日

  • 筆者 ドイツ・島田ライコ びっくりハウス

写真:リフォーム前の2本の給水塔リフォーム前の2本の給水塔

写真:リフォーム後はこのようなマンションに変わるリフォーム後はこのようなマンションに変わる

写真:マンションの一室マンションの一室

写真:給水塔の良さを生かしてリフォームされたハンブルクのホテル給水塔の良さを生かしてリフォームされたハンブルクのホテル

写真:ホテルのレセプションも給水塔の面影が残るホテルのレセプションも給水塔の面影が残る

 「給水塔に住んでみませんか?」

 ちょっと冗談とも思えるような家がドイツには存在する。別にホームレスのためでもなく、部屋が水浸しになっているという訳でもない。ドイツには今のような水道設備が完備されるまで、塔に水を蓄え、周辺に給水した給水塔が多くの町でいまも残る。そのほとんどは役目を終えたが、保存するにも解体するにも費用がかかるため「町の厄介者」と言っても過言ではなかった。そこで状況で登場したのが、マンションやホテルといった「居住空間」としてよみがえらせる利用法だった。

 首都ベルリンの西側に位置するシャルロッテンブルク地区。ここには2本の立派な給水塔がそびえている。1881年に建てられた東塔は、直径16メートル、高さ27メートルの円柱形。その西側に1910年に建てられた西塔は、直径14メートルでちょっと小ぶりだが、高さは何と60メートルにまで達する。この両塔内では現在、全21戸の分譲マンションとして生まれ変わるべく、リフォーム工事が急ピッチで進められている。給水塔はもちろん中が空洞なので、リフォームもしやすいのだとか。

 給水塔の外装は、重厚な雰囲気を醸し出すれんが造りのため、できる限りそのまま利用。内部には給水塔としての現役時代には当然なかったエレベーターを設置。部屋は塔の円形をいかしたおしゃれな雰囲気に仕上げ、各階に1戸ずつとなっている。床面積は170平米〜340平米、天井の高さは約3〜4メートルもあり、日本人には夢のような空間だ。2011年春に完成予定で、価格は170平米のタイプが44万3700ユーロ(約5000万円)から。すでに半分以上が売約済みという人気ぶりだ。

 ドイツの給水塔は円柱形のタイプが多く、耐水性を考えたためにれんが造りが主流。お陰で長年の風雪に耐え、奇跡的に戦火も逃れたため、現在でもその頑丈さは折り紙つきだ。産業が発達した19世紀半ば〜20世紀にかけて建設のピークを迎えた給水塔を、ドイツでは各地で目にすることができる。

 例えば、ドイツ西部のケルンでは、五つ星高級ホテルとして生まれ変わった。1990年に営業を開始した「ホテル・イン・ヴァッサートゥルム(給水塔の中のホテル)」は、1868年〜72年に建造された高さ35.6メートルの給水塔を活用し、ノスタルジーな雰囲気が大人気の秘密とか。

 また、ドイツ北部のハンブルクでも2007年に、11階建ての4つ星ホテル「メーヴェンピック・ホテル・イン・ヴァッサートゥルム」が開業し、話題を呼んだ。このほかにも、事務所やレストラン、イベント会場などにリフォームされている給水塔もある。

 このほか、閉鎖された空港の管制塔を居住空間に、というアイデアも出ている。1992年に閉鎖されたドイツ南部の旧ミュンヘン空港。古い管制塔の建物が重要文化財に指定され、その再利用法が注目されていた。現時点では、ホテルとして再利用される案が有力だ。また隣国スイスのチューリヒ空港にある旧管制塔は、この6月から婚姻届を届けるロマンチックな場所として再利用されている。

 ドイツ国民は、歴史的な建物を活用しようという意識が強い。歴史ある駅舎を壊すプロジェクトに対して連日デモが続いたり、失われた建物の「顔」であるファサードを再建しようと町がファサード・コンテストを開催したり。日本では古い建物を壊すことが多いが、一度壊したものを元に戻すことは困難だ。日本の古き良き建物を後世に残すためにも、ドイツの建築物リサイクルから見習うべき点が多々あるように思えてならない。

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