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「世界のウチ」

VIP席は飼い犬にお聞き下さい

2010年10月30日

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写真:我が家の自慢、庭を流れる小さな小川我が家の自慢、庭を流れる小さな小川

写真:男にとって「小屋作り」永遠の憧れ?夫は何度作って、壊した事か。男にとって「小屋作り」永遠の憧れ?夫は何度作って、壊した事か。

写真:夕方にはキラキラと日が射し込み、なかなか素敵。水の流れる音が良い。夕方にはキラキラと日が射し込み、なかなか素敵。水の流れる音が良い。

 大学教授のジャン・フィリップさんのお家にうかがうと、すてきな調度品に紛れて家のあちこちにクッションが置いてある。

 テラスのベンチの上はともかく、その他は人が座るには「?」な場所ばかり。本棚の最上段とか、出窓とか、テレビの上とか・・・ややしばらくして登場したグレーのネコさんは当然のよう本棚の最上段にひらりと飛び乗り、優雅に身繕いを始めた。

 「ネコっていうのはなかなかぜいたくなヤツでね、季節や時間に応じて家の中で一番快適な場所に行くんだよ」とフランス人には珍しく「ネコ派」の彼。「イヌ派」の私も負けじ、と「そうですよね、ウチの犬も同じです」。

 冬になると家の中に差し込む日だまりに合わせてじりじりと移動する姿はなんともいとおしいものだ。夏の2階は暑いとか、春のテラスは良い風が吹くとか、ちゃんと心得ているのである。

 そんな愛犬に「ダメ出し」をされてしまった我が家のS席がある。フランスの田舎で住んでいた家は「元タバコの干小屋」で、見かけはそこそこに可愛らしいが、壁の厚みは5cm。夏は暑く、冬は寒く、住み心地は「慣れれば平気」とでも言っておこう。

 そんな家に6年間も住み、引っ越しをしなかったのは他ではなかなか無い魅力があったからである。それは庭の端を流れる小川であった。

 都会から遊びに来たジャーナリストの友人フレッドは童心に戻り、水をせきとめて、「ダム」をつくるのに没頭していた。小川の側にささやかな家庭菜園を作り、バケツで水やりをするのも楽しかった。夏の夜に窓を開けけるとトポトポと心地の良い水の音が聞こえていた。

 その小川に「かかる」小屋を作ろうと夫が思い立った。「食前酒をそこで飲むんだ、良いアイデアだろ?」飛躍し過ぎとは分かっていてもロワールのシェノンソン城が浮かび、「まあ、すてき!」と速攻で同意する。果たして、出来上がった小屋は夫と私にとっては物珍しさも手伝ってS席であった。

 しかし、愛犬はシラッと入って来ようとしない。それでも私たちがそこに居るから仕方なく近くに居る。そんな夏の夕方のある日、愛犬は近くにさえ来ず、夫と二人で食前酒をたしなんでいた。急にモクモクと黒い雲が広がったと思ったら、バケツをひっくり返したような夕立が落ちてきた。

 瞬く間にS席はシャワールームとなりグラスワインは水割りになってしまった。ずぶぬれで家に戻った私たちを迎えた愛犬が「ホラね、あそこはワタシのお眼鏡にはかなわなかったのよ」と言っているようであった。

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