現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 住まい
  4. 世界のウチ
  5. 記事

「世界のウチ」

ブリスベン大洪水被災リポート(5)相手の立場でボランティア

2011年4月13日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:画面真ん中がトイレ、左が洗面所。トイレのドアは一度浸水時に持ち上げられたのか見事に外れていた拡大画面真ん中がトイレ、左が洗面所。トイレのドアは一度浸水時に持ち上げられたのか見事に外れていた

写真:洗面台の引き出しの中にもご覧のように泥水が。引き出しは木質ボードでできているので水を吸って、中に入らなくなった拡大洗面台の引き出しの中にもご覧のように泥水が。引き出しは木質ボードでできているので水を吸って、中に入らなくなった

写真:本棚。これも一部木質ボードでできているので、もろくも崩れて使い物にならなくなった拡大本棚。これも一部木質ボードでできているので、もろくも崩れて使い物にならなくなった

写真:倉庫の中。いろいろなものを詰め込んでいたが、それぞれが膨らんでものすごく取り出しにくかった拡大倉庫の中。いろいろなものを詰め込んでいたが、それぞれが膨らんでものすごく取り出しにくかった

 一度ゴールドコーストのコンドミニアムに戻り、翌日の1月15日土曜日に、正式にわが家に帰ってきた。家の中はまだまだ泥だらけ。捨てたり水で洗い流したりの作業がまだまだ続く。

 近くの小学校のPTAが中心になってできたボランティア団体の人がやってきた。「何か必要なものがあれば手配します」とのこと。私は少し考えて、「高圧洗浄機があるとうれしい」とお願いした。水圧を高めて汚れを取る機械だ。「できるだけ手配するようにするが、あちこちで必要とされているので、いつになるかはわからない」との答えだった(結局、この高圧洗浄機を持ったボランティアの方は翌日来てくれた。普段は鉄骨などの販売をしている人で、その仕事で使っているらしい)。

 この日1月15日と16日は週末だったこともあり、ブリスベン各地からボランティアがやってきた。普段静かなわが家の前の通りも、まるでウオーキング大会のコースにでもなったようにたくさんの人たちがシャベルやほうきを担いで通っている。そしてわが家をのぞいては、「お手伝いすることはないですか?」と声をかけてくれる。見ず知らずの異邦人にも分け隔てなどない。ありがたいことだ。

 「ありがとうございます。でもウチにはティーンエージャーの息子が2人いるので、なんとかなります。この通りの先のほうはお年寄りだけの家庭も多く、二階の天井まで浸かった家がたくさんあります。私たちのところよりも、そちらを助けてあげていただけますか」。いつもこんな返事をした。

 ピックアップトラックや四駆に冷たい水などを満載して配ってくれる人たちもたくさんいて、こちらはいつもありがたくちょうだいした。北半球とは季節が逆転するので、1月は真夏。水分はいくらでもほしい。停電で冷蔵庫が使えないので、冷たい水は特に本当にうれしい。日曜日の昼には、近くに住む人が家の前にバーベキューコンロを持ちだして、ソーセージシズルをふるまってくれた。焼いたソーセージとタマネギのスライスを食パンにくるんで食べる、オーストラリアのバーベキューと言えばコレという定番料理だ。

 同じく日曜日の午後には冷たいスイカとお菓子を持って、「おやつはいかが?」と回ってきてくれた人もいた。よくぞそこまで気づいてくれたと、これには大感激した。疲れて火照った体に、甘くて冷たいスイカがしみた。前日の朝に来たボランティア団体の人から「○○に行けば、被災者とボランティア用に、サンドイッチや飲み物が無料で配られている」という情報を得ていたが、泥だらけの家を片づけている最中だ。停電で夜には何もできなくなるので、昼間は寸暇を惜しんで作業したいところ。そんなとき、なかなか食事をいただきに行く気になれないものだ。

 このリポートを読んでいるみなさん。もしも今後被災地でボランティアをすることがあったら、どこかでの炊き出しもいいが、食べ物を「家々に届けてあげる」ということもぜひ検討していただけるとうれしい。炊飯器は電源を切ってもしばらくの間ご飯はあたたかい。電気ポットも同様。アツアツのご飯とみそ汁を配ってもらったら、被災者たちも元気が出るはずだ。

 あっ、それと1日の終わりには冷たいビールがあるとうれしいかな。これは呑み助ならでは発想だが……。「被災者がそんなこと言っている場合じゃないだろう」と非難されるかもしれないが、ただただ大変な作業を一日中続けた後には、そういうたのしみも必要なのだ。

 「被災者の救済は、彼らの立場になって考える必要がある」とよく言われる。だが、それは非常にむずかしいことだ。私も大洪水の被災者になって初めて、気づいたことがいくつもある。だから、これから必ず現れる別の災害の被災者のために、あるとうれしかった(またはあったらよかった)モノやサービスをきちんと記録に残したいと思う。

検索フォーム

世界のウチ バックナンバー


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

提携サイトで探す

  • 全国の売買物件をお探しの方アットホームスーモ
  • 全国の賃貸物件をお探しの方アットホームスーモ
  • 不動産会社をお探しの方アットホームスーモ

あなたの希望に沿った不動産情報・マンション情報を検索!

カテゴリ
都道府県

あなたの希望に沿った不動産情報・マンション情報を検索!