ペタンクは、フランスが誇る20世紀を代表する作家マルセルパニョルも、作品の中で描写した南仏発祥の伝統ある球技であるが、今でも全国で愛され、各地で盛んに行われている。
全国トーナメントに参加するくらい日々真剣に取り組んでいる人もいるが、男性陣がパスティス(水で希釈すると白濁するアニスのお酒)一杯をかけて、ワイワイまったりとやるゲームという印象が強い。そういう風景を古いフランス映画などでみたことのある人もいるのではないだろうか。
もちろん女性だって参加資格はある。しかし、私の経験からいうと男性のほうが夢中になって何時間もやり続けているケースが多い。一方のマダムたちは、1ゲームもすればプレーはもう十分。一足早く抜けて、その後のアペロ(アペリティフ)の準備にとりかかることが多いように思う。
ルールは至極シンプル。地面に目標玉(ビュット)を据え、参加者がそれぞれゲーム中に保持する金属製の球を投げ合って、ビュットにより近づけることのできた人やチームが勝つ。しかし、フランスではこれが非常に盛り上がる。
ペタンクに立ち会う時いつも感じるのは、競技中でもみんながよくしゃべることだ。フランス人は討論好きというステレオタイプも、あながち嘘ではないと思える。
つい最近も、ある誕生会で友人たちが集ってペタンクをした。一投一投についてやかましくコメントし合う。もう4時間も同じことをしているというのに、みんなしてがやがやわいわいとおしゃべりはつきない。茶化してはげらげらと笑い、ひやりとするような辛口コメントもばんばん飛び交う。
そういえば子供の頃、同じような単純な遊びをいつまでも飽きることなく続けていたことを思い出した。
この国の人々は非常にマイペースで率直で、いくつになっても子どものように素朴な人が多く、羨ましく思うことがよくある。まさにペタンクはその象徴であり、フランスがこよなく愛する娯楽の一つである。