現在位置:asahi.com>住まい>週刊朝日・AERAから> 記事 PR 注目マンション情報有料老人ホームこう選べ 10年で施設数7倍、苦情4倍AERA 2007年9月24日号 入居金が返ってこない、運営会社が倒産した……。「介護難民」の受け皿として急増中の有料老人ホームだが、トラブルも多い。「ついの住みか」の選択眼が問われる。
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近畿地方の80代女性は、この7月、困り果てて地元の消費生活センターの相談窓口に電話した。有料老人ホームに入居して10日たったが、うまく馴染めず退去したところ、入居金900万円のうち30%の270万円が、ホームに没収され返却されないのだ。 ホーム側は、 「契約書に書いてあるでしょ」 の一点張りで全く応じないという。確かに契約書には、入居金のうち30%は退去までの期間にかかわらず、ホームの取り分とある。残りの70%は、入居後8年間で徐々に「償却」される。償却とは、入居年数に従って残りの入居金も徐々にホームの取り分になるという仕組み。10日間だけなので、70%分は償却の対象にはならないけれど、30%分は返さないよ、というわけだ。 ホーム側が強気で主張できるのは、この女性に、入居前に契約書を見せていたからだという。だが、女性の年齢は80代。十分に理解して入居や退去を決めていたかは疑わしい。
●業者は「返還義務なし」 母が有料老人ホームに入居していたという男性からは、こんな相談が寄せられている。 4年間入居していた母が死亡した。入居金として支払った500万円のうち償却分を除いては、死亡時を含み退去の際に返還される規定になっていたが、運営会社が倒産し、一銭も返ってこないのだという。運営を引き継いだ事業譲渡先の会社と掛け合っても、 「譲渡前の会社との契約なので、入居金を返還する義務はない」 と取り合ってもらえないらしい。 このように、各地の消費生活センターや国民生活センターには、全国から有料老人ホームに関する苦情・相談が集まっている。97年は60件だったが、昨年は4倍以上の267件に膨れ上がった。その8割以上は、前出の相談にあるような契約や解約に関するものだ。 「契約当日に、細かい字で書かれた分厚い契約書や重要事項説明書を渡されても、高齢者が理解できるはずがない。情報公開が形ばかりでなく、きちっとされているホームかどうかを見極めることが非常に大切」 と言うのは、有料老人ホームの情報などを提供している「介護情報館」館長の中村寿美子さん。下の表にあるように、基本情報が書かれた「重要事項説明書」をいつ見せるかも、ホームによってばらつきがある。ホームページで公開している所もあれば、入居契約後にしか渡さない所も。「請求があれば」渡す所も多いので、情報格差がホーム選びの成否を決めると言っても過言ではない。
●要介護度が上がり退去 契約内容、特に入居金に関する苦情の増加を受け、昨年4月施行の改正老人福祉法では、(1)契約して90日間はクーリングオフでき、入居金はすべて返還される、(2)倒産時などに備え、入居金の未償却分は、500万円を上限に保険や全国有料老人ホーム協会の基金などで保全しておかなければならない、と定めた。ただこれも、法改正以降の新設ホームに適用されるだけで、既存のホームについては努力目標であって義務ではない。 契約にからむ内容以外にも、苦情は続々。南関東の80代の男性は、24時間介護付きが売りのホームに入居したのに、夜間ナースコールを押しても介護者は来なかった。自力でトイレに行こうとして転倒、ケガをしたが、治療費は自分持ちにされ納得できないと不満を訴える。「医療ケアも充実」と謳うホームに入居した女性は最近、要介護度が上がってケアの必要性が増したところ、対応できないと急に退去を命じられて困り果てた。もちろん代わりのホームを紹介してくれるわけではないという。
●61万人が介護難民に 問題が続発するにもかかわらず、有料老人ホームに頼らざるを得ない事情もある。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(老人病院)の「介護保険3施設」だけでは、施設でサービスを受けたいという利用者ニーズを到底満たしきれないからだ。 特養には全国で38万人の待機者がいる。数百人以上待ちの施設もあって、入居するのは至難の業。さらに厚生労働省は、2012年度までに介護療養型医療施設を廃止する方針も決めた。病状が安定しているにもかかわらず長期的に施設で療養する「社会的入院」状態を解消するためで、23万人分のベッドが削減される。しかし、施設から出された人すべてが、在宅で快適に暮らせるわけではない。 「38万人と23万人を合わせて、61万人が介護難民になるとも言われています」(中村さん)
●総量規制で質悪化? そこで、受け皿として注目されてきたのが有料老人ホームなのである。右ページ上のグラフを見れば分かるように、00年の介護保険導入以降、急激にホーム数が増加している。各高齢者向け施設の施設数や居室数を見ても、介護保険3施設と認知症の人に特化したグループホームに次ぐ多さだ。 ただ、その有料老人ホームでも、昨年から「総量規制」が始まった。介護保険サービスを利用した際に施設に支払われる費用のうち、都道府県の公費負担割合が三位一体改革の影響で増加。財政への影響を避けるため、都道府県は、事業計画を上回る施設の届けを規制するようになったのだ。 「役所から規制がかかれば正常な自由競争が妨げられ、サービスの悪化に繋がる恐れがある。無届けのホームも増加し、ますます質が保てなくなる」 と、有料老人ホームのコンサルティングを行う「タムラプランニング&オペレーティング」の田村明孝さんは心配する。 もちろん良質な有料老人ホームも多数あるが、玉石混淆の感は否めない。情報収集力ときちんとした選択眼を持たなければ、安心な老後は迎えられないだろう。 ※電話03−5730−9046 http://www.kaigo−info.jp/
◆いつ重要事項説明書を見せるか ホームページ上に公開 9% 請求があれば申し込み前に渡す 69 請求があれば見せ、入居申し込み後に渡す 44 入居契約の際に渡す 76 入居契約後に渡す 3 重要事項説明書を作成していない 0.2 ([複数回答]国民生活センター調べ)
◆高齢者向け施設の施設数、居室数 施設数 要介護者向け室数 自立者向け室数 介護付き有料老人ホーム 2010 93028 22381 特別養護老人ホーム 5997 408287 −− 介護老人保健施設 3480 312242 −− 介護療養型医療施設 2868 125978 −− グループホーム 9038 125282 −− ケアハウス 1771 11331 58524 養護老人ホーム 918 17835 47205 シルバーハウジング 793 −− 21235 (タムラプランニング&オペレーティング調べ)
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