写真かつての院生仲間の星合真吾さん(左)を下し優勝した栗田佳樹さん(右)=東京・市ケ谷の日本棋院

写真三番勝負の対局が決まったアマ名人の栗田佳樹さん(右)と大関稔さん(左)

写真【決勝】
 黒・栗田佳樹(招待)
 白・星合真吾(招待)
 274手完 黒6目半勝ち
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■アマ名人戦の歴史(○は全国大会優勝者)

写真

写真江村棋弘さん(左)江村秀弘さん(右)

写真初白星を挙げられなかった最年長の小柳初之輔さん

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 アマチュア碁界の頂点をめざす第13回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会(朝日新聞社、日本棋院主催)が6月30日と7月1日に東京・市ケ谷の日本棋院で開かれ、東京理科大1年の栗田佳樹さん(19)が初優勝した。今月末に打たれる第12期アマ名人・専修大4年の大関稔さん(23)との三番勝負は、ともに神奈川県出身で元日本棋院の院生(プロ候補生)、大学生同士の決戦となる。

 ■元院生の若手躍進 招待4人、初戦敗退

 過去5大会の実績などに基づく招待選手8人と、地方大会を勝ち抜いた都道府県代表49人、16~80歳の計57人によるトーナメント。大会は1~3回戦が行われた1日目から荒れた。前アマ名人の立命館大3年、平野翔大さん(21)、昨年準優勝の三重県職員、闇雲翼さん(26)ら招待選手4人が初戦で敗退した。

 近年、この大会では元院生の若手の躍進が目立つ。在籍制限の17歳までに院生を辞してアマ棋戦に参戦した彼らは、名の通った有力選手を次々に討ち取っていった。1日目が終わって残った8強のうち、元院生は6人。2日目の準々決勝を勝ち上がった4強のうち3人を占めた。いずれも大学生で、最終的に1~3位の上位を独占した。現アマ名人の大関さん、前アマ名人の平野さんも大学生。現在のアマ碁界はこの世代の強さが際立っている。

 優勝した栗田さんは10歳から16歳まで院生としてプロをめざし、プロ試験で2回次点に泣いた。院生時代の栗田さんに何十局と胸を貸した平田智也七段(24)は「読みが深く、プロと遜色ない実力の持ち主。優勝してもおかしくないと思っていました」と言う。

 準決勝は2回戦で平野さんを下した東洋大2年、豊田裕仁さん(19)に快勝。決勝では、昨年の学生十傑戦決勝で大関さんを破った早稲田大4年、星合真吾さん(23)との持久戦を制した。2人とも院生時代を一緒に過ごした碁敵だ。「まさかこういう舞台で会うとは。感慨深かったです」

 昨年は大学受験、今年は大学の勉強でなかなか碁に時間を割けないという。「大会では先のことを考えず、目の前の一局に集中しました。苦しい碁が多かったけど、我慢強く打てたのがよかった」。高校3年の昨年は全国高校選手権と全国高校総合文化祭囲碁部門で優勝。今度はアマ最高峰のタイトルをねらう。「大関さんは同じ神奈川の尊敬する先輩。胸を借りるつもりで臨みます」

 大会会場に現れた大関さんは「栗田君には2年前のこの大会の準々決勝で負けて、悔しい思いをしました。今度は挑戦を受ける立場ですが、なんとかリベンジしたい」と話した。

 三番勝負は28、29の両日、静岡県伊豆市修善寺の「鬼の栖(すみか)」で打たれる。(大出公二)

 ■江村さん兄弟、そろって健闘 囲碁一家の良きライバル

 岩手県代表の病院職員江村秀弘(しゅうこう)さん(43)=盛岡市=と兵庫県代表で関西棋院職員の江村棋弘(きこう)さん(38)=大阪府寝屋川市=は、兄弟で出場。どちらも2回戦で惜敗したが、健闘をたたえ合った。

 秀弘さんは、藤沢秀行名誉棋聖から、棋弘さんは囲碁を意味する「棋」の一文字をとって名付けられた。岩手県大会の決勝では、秀弘さんが父洋弘さん(72)と対戦するほどの囲碁一家だ。棋弘さんが優勝した2012年の世界アマチュア囲碁選手権日本代表決定戦では、秀弘さんがサポート役を果たした。

 2人は今大会初日の会場で久々に会い、「頑張って」と声をかけ合った。秀弘さんは「力は弟の方が上。私はもう少し勝てるように、自分なりに頑張ろうと思う」、棋弘さんは「全国大会の上位で兄と対戦するのが一つの夢。夢は大きく決勝ですね」と話していた。(神宮桃子、森本未紀)

 ■80歳小柳さん、抱負通り果敢 初出場の今大会最年長

 今大会最年長の小柳初之輔さん(80)=熊本市=は、初戦で静岡県代表の囲碁インストラクター佐藤洸矢さん(25)に敗れた。「先番をとったら積極的に」の抱負通り、55歳年下を相手に積極果敢に打ったが、手順ミスでたくさん石を取られて劣勢に。あきらめずに打ち続けたが、正確に対応され、力尽きた。

 終局後、「普段通りには打てました。特別に強い相手とは思わなかったが、私の対応が悪かった」と話した。

 囲碁歴は約60年。現在は日本棋院熊本中央支部長を務め、碁会所で週50局は打っているという。県大会の準決勝で「ふだん負けている」という好敵手に勝ち、初めて全国大会への切符を手に入れた。目標の「1勝」はかなわなかったが、力は出し切った。「年齢的にミスは起こすもの。でも私より年上で強い人がいるんです。また頑張ります」と話した。(村上耕司)

 ■8強選手のひとこと

 <栗田佳樹さん(19)> 大学の勉強でけっこう忙しいですが、時間を見つけて碁のほうも勉強したい=招待、横浜市

 <星合真吾さん(23)> 集中力が切れてミスが出るのが自分の弱さ。力を全部出し切れなかった=招待、東京都立川市

 <豊田裕仁さん(19)> 目標は優勝だったので3位では情けない。8月からプロ試験で頑張りたい=東京都代表、世田谷区

 <小野慎吾さん(34)> 4位は実力以上のものが出せた。来年も招待してもらえると思うので頑張る=招待、山口県周南市

 <柳田朋哉さん(24)> 出場4回目で初の初戦突破。ジンクスから逃れられたので、いつか優勝を=京都府代表、京都市

 <村上 深さん(33)> 準々決勝は秒読みで間違えた。調子は決して悪くなかった。残念の一言です=招待、東京都練馬区

 <伊藤裕介さん(25)> 2日目に残るのが目標だったので達成できた。でも、ちょっと悔しい=埼玉県代表、所沢市

 <伊達昌希さん(39)> 2日目に残る若手はみんな強い。8強は上出来。力は十二分に出せた=香川県代表、善通寺市

■第13回朝日アマ囲碁名人戦全国大会(6月30日、7月1日)の結果



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