写真半目差で決勝戦を制した大関稔さん。右はうなだれる平野翔大さん=7日、東京・市ケ谷の日本棋院

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 アマ碁界の頂点をめざす第14回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会(朝日新聞社、日本棋院主催)は、史上初めて元アマ名人同士の決勝となった。大関稔さん(24)が逆転で優勝し、栗田佳樹アマ名人(20)への挑戦権を手にした。

 ■因縁のライバル

 大会は6、7日に東京・市ケ谷の日本棋院であり、都道府県代表と、過去の実績に基づく招待選手の57人が出場。決勝は一昨年の三番勝負の再現となった。

 大関さんはその年の全国大会に優勝して当時の平野しょう・だいアマ名人(22)に挑戦し、タイトルを奪った。だが昨年の三番勝負で栗田さんに敗退。今大会、失冠の2人はそろって出場し、別のヤマに組み込まれた。

 2人には三番勝負だけではない深い因縁がある。

 ともに日本棋院の院生としてプロをめざしたが果たせず、高校生のときに退会。大学に進んでアマに転じると、各棋戦で猛威をふるった。

 2016年、立命館大1年の平野さんがアマ名人になると、直後に専修大2年の大関さんがアマ本因坊に。その年の学生本因坊、学生最強位、学生王座の3棋戦で決勝を争い、すべて大関さんが制した。

 「大関に勝ちたい」と平野さんは言いつつ、プロ試験もあきらめていなかった。日本棋院には院生でなくても22歳まで受験できる制度がある。17年に受験したが失敗。ラストチャンスの昨年もだめだった。「もう碁はやめた」と周囲に言っていたが、今大会に姿を現した。

 ■2年ぶりの対局となった決勝

 決勝は激戦となった。中盤、平野さんが下辺の大関さんの白石の大群を捕獲し必勝形を築いた。捨て身の大関さんは右上の黒陣に切り込む。平野さんは真っ向から受けて立った。

 勝負の分かれ目は、平野さんの右上137手目。自陣の弱点に目もくれず大関さんの白石の撲滅を図ったが、弱点を突かれて逆襲を受けた。黒白どちらかの石が死ぬ「大コウ」の手段が生じては逆転だ。

 弱点を守っていれば平野さんの勝勢だった。だがこのとき、2年前の三番勝負第1局が脳裏によぎったという。本局と同じく平野さんが大関さんの石の一群を捕らえて優勢になったが、勝ちを意識して緩み逆転負けした。「あんな負け方はしたくない」と強気の手を選ばせた。以心伝心。大関さんも「平野は絶対に攻めてくる」と確信していた。

 終わってみれば、勝敗の差は囲碁の世界で最も微細を極める「半目」だった。

 「2年前に比べて悔いなく打てた。できすぎです」と平野さん。プロ試験のため休学していた大学に戻り、卒業をめざす。

 大関さんはこの春、大学を卒業して社会人になった。「また平野と打てるとは思わなかった。不思議な感じです」。昨年タイトルを奪われた栗田アマ名人へのリターンマッチについては、「彼は初めて挑戦される側に立つ。僕は挑戦する側もされる側も経験している。気持ちの面では準備できている」と話した。 (大出公二)

■第14回朝日アマ囲碁名人戦全国大会(7月6日、7日)の結果



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