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囲碁名人戦七番勝負第3局1日目ダイジェスト

2009年9月24日

写真封じ手を坂口隆三九段に渡す挑戦者の井山裕太八段(右)。奥は張栩名人=24日午後、兵庫県宝塚市、新井義顕撮影

写真ヨーロッパの古城をイメージしてデザインされた手塚治虫記念館=兵庫県宝塚市武庫川町

写真今村俊也九段(右)と井澤秋乃四段による大盤解説会=兵庫県宝塚市の宝塚ホテル

図拡大(43〜85手)

図拡大先番・張栩名人(42手まで)

写真第一着を打ち下ろす張栩名人(右)。左は挑戦者の井山裕太八段=24日午前、兵庫県宝塚市、新井義顕撮影

●手塚治虫のふるさと、宝塚

 宝塚ホテルから歩いて10分弱の所にある宝塚市立手塚治虫記念館は、市の観光名所の一つだ。

 常設展には、手塚さんが幼少時に描いた絵や作文などが展示されており、「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」など数々の名作を残した巨匠の原点をかいま見ることができる。

 10月26日まで「手塚治虫のストーリーマンガ」と題する企画展が開かれており、1947年に描かれた「新寳島(しんたからじま)」に焦点を当て、手塚さんがマンガ界に与えた影響を取り上げている。

 ホテルで開かれた大盤解説会には多くの囲碁ファンが訪れた。その中には記念館にも足を延ばした人がいることだろう。

●名人、機敏な動き

 午後に入って、張名人は黒45、47と厳しい手を放ち、下辺の白を攻めた。これに対し、挑戦者は白48から56とさばく。攻めの効果で右辺を黒地にした名人は左上63に回り、白64に対し、手を抜いてさらに65と連打する機敏な動きを見せた。対する挑戦者は白66とノビて右辺の黒地に侵入した。

●大盤解説会、にぎわう

 対局場となっている宝塚ホテルで午後2時から、関西棋院の今村俊也九段(解説)と日本棋院関西総本部の井澤秋乃四段(聞き手)による大盤解説会が始まり、関西の囲碁ファンら約80人でにぎわった。

 今村九段は「張名人と井山挑戦者の2人の碁は明るい」と評した。どこが要所か迷いそうな局面でも、早めに着手できる両対局者の卓越した力量を評価する言葉だ。

 今村九段は「井山挑戦者のじっくりした棋風に対し、張名人は軽快さの中にも鋭さを秘めている」と違いを説明した。

 「次の一手クイズ」もあり、正解者16人に、張名人が「惜福」、井山挑戦者が「心」と書いた囲碁名人戦の記念扇子などが贈られた。

●上辺が当面の焦点

 午後1時に対局が再開された。

 張名人が右上黒19と仕掛けたのに対し、井山挑戦者は白26、28と反発し、黒の攻めを真正面から受け止めた。名人は黒39と地を稼ぐ方針に切り替え、挑戦者が上辺黒を攻める展開になった。上辺の黒がどうなるのかが当面の焦点だ。

●昼食休憩に

 張名人が43手目を考慮中に昼食休憩に入った。持ち時間各8時間のうち、ここまでの消費は名人58分、井山挑戦者2時間2分。午後1時に再開する。

●第3局の見どころ

 23日夜の前夜祭では、第3局の見どころなどを立会人の坂口隆三九段、NHK解説の山城宏九段、現地大盤解説の今村俊也九段、新聞解説の山田規三生(きみお)九段が紹介した。

 立会人で日本棋院関西総本部所属の坂口九段は「第1局は難しい碁を張名人が制し、第2局は井山さんが盛り返した。第3局は本シリーズを決する大事な一局」と予測した。

 中部総本部所属の山城九段は「中部には羽根直樹本因坊がいる。ぜひ、関西で名人、王座を期待したい」と、井山挑戦者や王座戦の挑戦者となった山田九段にエールを送った。

 関西棋院所属の今村九段は「第1局で井山さんは半目負けし、ショックが大きいかなと思ったが、第2局で踏みとどまったのはすごい。張名人と井山挑戦者の碁は変化が多く、解説者泣かせ」と話した。

 日本棋院関西総本部所属の山田九段は「張さんを相手に王座戦を戦うのは大変。名人戦で井山さんに頑張ってもらって、アシストしてほしい」と会場を沸かせた後、「今期名人戦リーグの井山さんは負ける気配がなかった。七番勝負の第1、2局は井山さんが若干押し気味と感じる。張さんも気持ちを切り替えてくるでしょう。面白くなりそうな第3局です」とみた。

●名人、仕掛ける

 張名人の黒1、3は第1局と同じ布陣。井山挑戦者は左下隅を白6とシマり、名人に黒7と右辺に勢力をはらせる作戦をとった。

 名人は黒11、13と下辺でも勢力を拡大。挑戦者が白14と模様を消しに向かったのに対し、名人は下辺の白をにらみながら、右上黒19と厳しく仕掛けた。

●前夜祭、華やかに

 23日夜、宝塚ホテルで前夜祭が開催され、関西の囲碁ファンら約120人でにぎわった。宝塚市では15年前の1994年、第19期囲碁名人戦で、小林光一名人(当時)が挑戦者の林海峰天元(当時)に4連勝し、名人戦史上初の7連覇を達成した。

 小林さんは張栩名人の義父。張名人にとって、宝塚は縁起のいい場所に違いない。

 一方、大阪府東大阪市出身の挑戦者・井山裕太八段にとっても、宝塚は特別な場所だ。この街に、師匠の石井邦生九段が住んでいる。宝塚の師匠は東大阪の弟子とパソコン通信やインターネットで対局し、弟子を鍛えた。井山八段は「第3局は地元・関西での開催で、師匠の住まいも近く、身が引き締まる思いがします。しかし、力が入りすぎてもよくない。普段通りの力を出すことを考えて打ちたい」と抱負を述べた。

 これに対して張名人は「いい碁をお見せできるのではないかと思っています」と落ち着いて話した。

 もう一人、前夜祭を華やかにしたのが宝塚市の観光大使「サファイア」役をつとめた大阪大大学院生の定藤博子さん。中川智子・宝塚市長と両対局者に花束を贈呈した。

 サファイアは、宝塚で青春時代をすごした手塚治虫さんの人気漫画「リボンの騎士」の主人公。対局場の宝塚ホテルの近くには宝塚市立手塚治虫記念館がある。こちらも今年で開館15周年を迎えた。

●第3局、始まる

 張栩(ちょう・う)名人(29)に井山裕太八段(20)が挑戦している第34期囲碁名人戦七番勝負第3局が24日、兵庫県宝塚市の宝塚ホテルで始まった。宝塚市での囲碁名人戦は15年ぶり。今期はここまで1勝1敗。仕切り直しとなる重要な一局だ。

 午前9時、立会人の坂口隆三九段が「時間になりました。始めてください」と告げ、対局開始。黒番の張名人の第一着は右上星だった。これに対し、井山挑戦者は左上星と応じた。

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