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2012年9月20日19時4分
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囲碁名人戦七番勝負 第2局1日目ダイジェスト

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写真:下辺の攻防に熱のこもった検討を続ける王銘エン(おうめいえん、エンは王へんに宛)九段(左)、高尾紳路九段(右から二人目)、大矢浩一九段(右端)ら=20日、北海道上川町拡大下辺の攻防に熱のこもった検討を続ける王銘エン(おうめいえん、エンは王へんに宛)九段(左)、高尾紳路九段(右から二人目)、大矢浩一九段(右端)ら=20日、北海道上川町

写真:羽根直樹挑戦者のおやつのメロンと紅茶拡大羽根直樹挑戦者のおやつのメロンと紅茶

写真:羽根直樹挑戦者が注文した「豚かつとじ陶板」=小川雪撮影拡大羽根直樹挑戦者が注文した「豚かつとじ陶板」=小川雪撮影

写真:第一着を打ち下ろす山下敬吾名人。左は挑戦者の羽根直樹九段=20日午前9時、北海道上川町の層雲峡朝陽亭、堀英治撮影拡大第一着を打ち下ろす山下敬吾名人。左は挑戦者の羽根直樹九段=20日午前9時、北海道上川町の層雲峡朝陽亭、堀英治撮影

写真:銀河の滝を背に並んだ山下敬吾名人(左)と羽根直樹挑戦者=北海道上川町、小川雪撮影拡大銀河の滝を背に並んだ山下敬吾名人(左)と羽根直樹挑戦者=北海道上川町、小川雪撮影

写真:途中図(28―65)、66手目=封じ手拡大途中図(28―65)、66手目=封じ手

図:途中図(1―28)拡大途中図(1―28)

■1日目終わる 長期戦の様相

対局生中継・棋譜中継はこちらから

 午後6時、羽根挑戦者が66手目を封じて1日目を終えた。挑戦者は別室で棋譜に封じ手を記入し、封筒に入れて立会人の王九段に手渡した。消費時間は黒番の山下名人が3時間57分、白番の挑戦者が4時間3分と拮抗(きっこう)している。21日午前9時に再開する。

 挑戦者が左上に転戦した白50以降は、互いに下辺の白五子の動き出しを気にしながらの駆け引きとなった。左辺黒59に挑戦者は白60のツケから62とオサえる。名人は黒63の出を決めてから65と打ち、懸案の下辺白五子を制した。

 封じ手の66手目は1日目最長となる36分の長考。手広い局面で、検討陣は長期戦になると予想している。

 なお、1日目終了間際の検討陣・取材陣は、挑戦者がいつ封じる意思を示すかとやきもきしていた。現行の名人戦の規定では、午後5時半から6時になるまでは、盤上に着手しても封じてもどちらでもよい「グレーゾーン」になっている。6時になったら手番の側は次の一手を、考えがまとまった段階で必ず封じなければならない(盤上に打ってはいけない)。これまでは午後5時40分ごろまでに封じる棋士がほとんどだったが、挑戦者は5時24分から考え続け、6時ちょうどに封じた。立会人の王九段が入室して「次の手を封じてください」と告げる直前だった。(伊藤衆生)

■深すぎる戦い

 くすぶっていた下辺一帯が本格的な戦いに突入。午後4時ごろまで両者の読み合いが続いた。

 戦いが激化したのは羽根挑戦者の白32トビからか。黒33、35と下辺にはみ出す山下名人に対して、挑戦者は白42と一度動き出してから、右下44を決め、再び46と動く。ところが、黒49を見て挑戦者は左上白50と転戦した。下辺の白五子の火種して残された。この攻防、深すぎる。

■おやつの時間

 午後3時過ぎ、おやつが運ばれた。名人は熱いダージリンの紅茶のみ。挑戦者は紅茶に富良野産のメロン。午後になり、外は風が強くなってきた。空気が乾いているので、あたたかい飲みものがちょうどいいのかもしれない。

■対局再開/くすぶる下辺

 午後1時に対局再開。5分ほどして山下名人は黒29(白28の左)とハネた。穏やかな分かれになったかに見えた下辺だが、そうではなかった。検討室では王銘エン(おうめいえん、エンは王へんに宛)九段、高尾紳路九段、大矢浩一九段らが「まだ、くすぶっていたね」と熱心に研究を続けている。大きな変化に進む可能性もありそうだ。

■挑戦者はたっぷり昼食

 昼食は、山下名人は1局目と同様に注文しなかった。挑戦者はとんかつを卵とホウレン草、タマネギでとじた「豚かつとじ陶板」とごはん、イカの塩辛、冷たいそば、つけもの。ボリュームたっぷりの献立だ。オレンジやブドウなどの果物と、熱いストレートの紅茶が添えられた。

 山下名人は昨年の名人戦でも昼食を一切とらなかった。立会人の王銘エン(おうめいえん、エンは王へんに宛)九段も「とらない派」だ。「戦いの真っ最中で食べるどころじゃない。ただ名人はおやつも食べないようですが、私はおやつは食べます」

■昼食休憩に/午前中は下辺で攻防

 山下名人が29手目を考慮中に正午となり、昼の休憩に入った。午前中の消費時間は黒番の名人が1時間50分、白番の羽根挑戦者が1時間10分。午後1時に再開する。

 序盤早々から見応えある展開となった。名人が20分を費やして下辺黒21へ打ち込めば、挑戦者は26分で白22とカケる。途端に検討室の大矢浩一九段から「アグレッシブだねえ」と声があがった。名人は慎重に時間をかけ、25分で黒23と出た。この黒23では他の選択も考えられたところだ。黒23、25と出切る進行は比較的穏やかな分かれ。手厚い碁形を好む名人らしい選択ともいえる。(伊藤衆生)

■ふるさとの思い出

 前夜祭には、山下名人の父建夫さん(69)と母美知子さん(64)の姿もあった。山下名人は旭川市で生まれ、小学3年生までを過ごした。ご両親が息子の対局の前夜祭に出席することはこれまでなかったが、知人も多いふるさととあって駆けつけた。

 アマ五段の腕前の建夫さんは名人について「旭川で寒さに耐え、厳しい環境に負けない芯の強さを養ったと思う」と話す。冬が長く室内ゲームの盛んな土地だが、名人は外でもよく遊んでいたという。

 5歳で地元の「子ども囲碁クラブ」に入った。とにかく負けず嫌いだったという。「大人と対局して負けても、大粒の涙をぽろぽろとこぼしていました」と美知子さん。泣きやむとまた盤に向かっていたという。「トランプのばば抜きでも負けても、やっぱり泣いていました」。そんな山下少年を、周囲の人たちはあたたかく見守った。「あったかい旭川の人たちに敬吾を大きくしてもらったと思っています」。(小川雪)

■舞台は北の大地

 舞台は大雪山のふもと、大雪山国立公園の表玄関でもある北海道上川町の層雲峡。対局場となったホテル「層雲峡 朝陽亭」は、周りに大型ホテルが立ち並ぶ温泉街にある。20日は朝から青空が広がり、シラカバの林を吹き抜けるさわやかな風が心地よい。

 蒸し暑い東京から来た対局者ら一行には、このさわやかさはすっかり秋の雰囲気……と思えるが、今年は残暑がことのほか厳しいという。ホテルによると、例年なら今頃の気温は22度ほどだが、今年はまだ27〜28度の日が続く。そろそろ始まる紅葉も遅れ気味とか。

 一行は前日、ホテル到着前に近くの「流星・銀河の滝」を見物した。石狩川沿いの断崖絶壁を流れ落ちる名瀑で「日本の滝百選」にも選ばれている。旭川市出身の山下敬吾名人だが、意外にも訪れるのは初めてだと話していた。(小川雪)

■地元開催は有利?不利?

 初防衛をめざす山下名人にとって、出身地・北海道での初めての名人戦だ。他のタイトル戦ではこれまで道内で計12戦(棋聖戦2回、本因坊戦3回、天元戦7回)して8勝4敗の好成績を挙げている。生まれ故郷の旭川市内では1勝2敗。

 一方、羽根挑戦者は計9戦(棋聖戦1回、本因坊戦4回、天元戦4回)して5勝4敗。道内での両者の直接対決は4度あり、山下名人が3勝1敗と勝ち越している。(伊藤衆生)

■第2局始まる/名人の第一着は「右上小目」

 山下敬吾名人(34)が挑戦者の羽根直樹九段(36)に先勝して迎えた第37期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第2局が20日、北海道上川町の「層雲峡 朝陽亭」で始まった。

 定刻の午前9時、立会人の王銘エン(おうめいえん、エンは王へんに宛)九段、小林光一名誉名人らが見守るなか、先番の山下名人が第一着を右上小目に打ち下ろした。

 当地は山下名人の出身地・旭川市の隣町。地元開催で山下名人が連勝するか、羽根挑戦者が1勝1敗のタイに持ち込むか。対局は持ち時間各8時間の2日制で、21日夜までに決着する。

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