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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第11局  観戦記 >
黒 坂井 秀至  七段   対   白 趙 治勲  二十五世本因坊

 

昔の話

2009年4月2日

 プロ中のプロである趙治勲と、長いアマチュア時代を経てプロに転じた坂井秀至。対照的な両者には何かと因縁がある。

 20年ほど前、囲碁雑誌が若手プロ8人とアマ強豪8人を選抜してトーナメントを主催した。これに出場したのが高校生の坂井である。講評を担当した趙、坂井には激辛だった。いわく「アマチュアには適用しても、プロではだめでしょ」。坂井を持ち上げ、プロにならないのはもったいないと書いた記者は、厳しいと思ったものである。13年前、アマチュア本因坊戦で優勝した坂井は、趙本因坊との記念対局にのぞむはずだった。当時のアマチュアは趙に押され、手合は二子。これを坂井は拒否した。一流プロに先で実績を残している自分が、なぜ二子で打たなくてはならないのかである。

 こんないきさつがあるので、対局室の空気が張りつめているのかと思ったが、考えすぎかもしれない。すべて昔の話。リーグ序盤で2敗を喫すると苦しくなる。ただそれだけの理由で双方の表情が硬いのだろう。

 白8まで、総ガカリまね碁風の珍形。坂井が黒9とハサんで一変した。白10以下は400年前の一世本因坊算砂時代からある定石。固い右辺から動いた理屈の黒9がおかしな位置にあると白が主張すれば、白は決めすぎでしょうというのが黒の言い分だ。

(春秋子)

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