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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第14局  観戦記 >
黒 井山 裕太  八段   対   白 高尾 紳路  十段

 

成長期

2009年4月23日

 5月に井山はいよいよ20歳になる。大人の仲間入りだ。言いかえれば、ついこの間まで子供だった。

 今でも思い出す。ある囲碁雑誌の企画で東京で対局が組まれた。彼は確か、制服姿で大阪からやってきたと記憶している。背は隣にいた母親と好勝負だったが、まだまだ親のぬくもりが心地良さそうだった。あの少年が今では碁界を動かしている。十年一昔、いやいや、ほんの数年前だ。

 無限の可能性を秘めているといわれる成長期の脳。それをわたしたちは昨年の七番勝負で目の当たりにした。その話を友人にしたらこう返されて困った。「じゃあ、今も成長しているんじゃないか」

 高尾も10代のころから騒がれていた棋士。こちらは先を急がない棋風通り、ゆっくり階段をのぼって3年前に大爆発。名人・本因坊となった。今は十段の一冠のみだが、つい先日、本因坊戦の挑戦権を獲得した。再度の碁界制覇を目指す。

 リーグ序列1位の井山が、4位の高尾を関西総本部に引っ張っての対局。白8は高尾の好きな手と解説の河野臨九段はいう。

 「黒9、11がいちばんオーソドックスな応手。黒10とハザマを突くのは白Aで黒の感触がいまひとつです」

 さて、左下に注目。白26のあと、黒は右辺、上辺、左辺のどこに向かうべきか。記者にとっては驚きでした。

(松浦孝仁)

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