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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第16局  観戦記 >
黒 小林 覚 九段  九段   対   白 張 豊猷   七段

 

長考派vs早打ち

2009年5月7日

 27歳の張豊猷(ちょう・りゆう)は97年の入段。当時の彼の紹介記事に「趙治勲と柳時熏の名字を合わせたような名前」という、クスッと笑ってしまうようなフレーズがあった。趙が名人、棋聖、本因坊の「大三冠」に君臨し、柳が天元、王座の二冠だった頃の話だ。勝手にかけられた大きな期待を裏切ることなく、張は翌年、16歳二段で世界選手権・富士通杯本戦に出場する大活躍をしている。

 そして、入段12年目につかんだ初リーグ。3連敗で迎える本局は小林覚との対戦だ。ベテランにどうぶつかるか。張は筋金入りの長考派。惜しみなく時間を使って最強手を選ぶ「アツイ男」という棋士仲間の評判である。

 一方の小林も白星に恵まれていない。こちらは対照的な早打ち。両者の消費時間の違いにも注目していこう。

 白10に21分、白14に11分。14はもちろん、Aと16の二間ビラキを見合いにしているわけだが、白16に9分を費やしたことは、私たちに考えることの大切さを教えてくれる。16で白17に打つ進行だって十分にありそうだ。

 小林が1分で黒17へまわり、次に白が向かうべき方面は2カ所である。張は15分で左下白18へ。「僕ならば白18でBと左上に打ち、黒18、白C、黒Dという構想を描きます」と解説の黄翊祖七段。「でも張さんは白20が打ってみたかったんですね」

(伊藤衆生)

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