現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 囲碁
  4. 名人戦観戦記
  5. 記事

< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第17局  観戦記 >
黒 趙  治勲   二十五世本因坊   対   白 井山 裕太   八段

 

趙の苦手

2009年5月14日

 新しくなった日本棋院関西総本部の対局室に、趙治勲は初めてやってきた。しばらくフロアを歩き回ったあと、いす席の特別対局室に「立派だねえ」といいながら座った。

 趙が負け越している数少ない棋士のひとりが、井山裕太だ。ここまで趙の2勝4敗。

 井山は昨年、「関西で負ける姿を見たことがない」と評判が立つほど勝っていた。今年はさらにすごい。10勝1敗と、どこででも勝ちまくっている。

 3手目の考慮中に、趙は「弱ったね」と早くもぼやき始めた。黒9のハサミに、白10とハサみ返すのは、最近の流行だ。黒15でAに受けるのは、白B、黒C、白Dとツケ切られ簡単にさばかれる。

 昼休みを挟んで打たれた白22の三間ビラキに、井山の作戦を感じた。「Eの二間ビラキと迷うところ。三間は黒23の打ち込みを誘っているのです」と解説の小林光一九段。

 白24、26のツケ切りからはほぼ一本道の進行だ。白32でFにマガるのでは、黒Gで眼形をおびやかされる。

 趙はすでにいやな感じがしていたのかもしれない。黒37の押しに、39分もかけた。右辺にできあがったのは、大きな黒模様。形勢が傾いたわけではないが、「趙さんの苦手な碁になりました。趙さんは模様を荒らすのが巧み。囲っても地になる気がしないのです」と小林解説者。

(内藤由起子)

[次の譜へ]

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内