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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第24局  観戦記 >
黒 小県 真樹  九段   対   白 小林  覚  九段

 

布石は楽しい

2009年7月2日

 なかなかおもしろい序盤戦だった。

 小林覚が4分の少考で白6に割り打つと、小県真樹が「そうかそうか」という調子で2度うなずく。かつて白6は、黒にとって予想の立てやすい一手だった。それが最近はほかへ打つ頻度が高まっている。例えば白Aのカカリ。続いて黒Bと低く二間にハサむのが世界的流行だ。

 黒7に白8は小林の好きな一間高バサミ。ただし別の見方もできる。「白8で10は、黒C、白18、黒Dという流行布石に導かれる可能性がある。それを嫌ったといえなくもありません」と解説の大矢浩一九段。布石は水面下の戦いがいっぱい。いろいろと想像を巡らすのも楽しい。

 白12のコスミツケに小県は長考に沈んだ。35分を費やして打たれた黒13のサガリに検討陣からは「珍しいね」の声。大矢解説者は、「黒13はE、白F、黒14、白13、黒Gの定型を選ぶべきでした」。仮に白12で14に受けたとすれば黒はHで安定を得られる。実戦は黒にその余裕がなく、苦戦の一因になる。

 じっと力をためた黒15のコスミはいかにも本格派という感じがする。解説者は「小県さんが名刺を切ったような一着ですね。でも黒Iのハサミと比べ、全局的に遅れる恐れがある。怖い選択です」という。

 小県、わずかに優勝の可能性を残しての対局だった。

(伊藤衆生)

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