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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第26局  観戦記 >
黒 小県 真樹  九段   対   白 張  豊猷  七段

 

ぜいたくに

2009年7月16日

 張豊猷のスタイルは今の碁界にはなじまないのかもしれない。序盤から湯水のように、惜しげもなく持ち時間を消費していく。それも、ただの長考ではない。体をよじりながら、何かつぶやきながら、ずっと苦しい表情をしている。彼のワイシャツは、おそらく長持ちしないはずだ。

 他棋戦では持ち時間短縮傾向にあり、世界戦は3時間が主流。彼のようなタイプはこれから先、どんどん肩身が狭くなっていくのだろうなあと想像する。

 でもこんな棋士にはそのスタイルを貫いてほしいとも思う。序盤から長考が許されるのは棋士の特権。アマチュアの描けない世界を盤上に示してほしい。

 記者の願いが通じたか、この碁でも張はどんどん時間を使う。ただ、少しいつもとは様相が違う。対戦相手の小県もなかなか碁石を握らないのだ。黒5のシマリに10分、黒7のカカリにも10分。ぜいたくに時間が流れているような気がして、なんだか気持ちいい。

 黒7のカカリに白8と厳しくハサんだくせに、黒9のツケには手を抜く。情けない態度だなあと、記者はこの流行定石がずっと疑問だった。

 「白10で15は位が低くなる。白は実戦の16まで、左辺と上辺の両方を占めれば満足。この二つの考え方が白10の根底にはあります。もちろん、互角の分かれです」と解説の潘善キ七段。

(松浦孝仁)

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