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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第31局  観戦記 >
黒 王  銘エン  九段   対   白 趙 治勲  二十五世本因坊

 

碁を創造する

2009年8月20日

 いきなりおどろかされた。黒5の一間ジマリから白6のカカリに黒7と一間に高くハサんだところまでは、最近よく見かける立ち上がり。白8の三々入りもごく普通の一手だ。

 尋常でないのは黒9である。こちらからオサえるのはA方面に黒のヒラキがある場合に限ると、定石書は教える。ヒラキがなければ当然黒10だ。王銘エン、さては定石を知らなかったのか、あるいは定石無視か。しかしもっとおどろいたのは趙治勲の感想だった。「前から黒9はあるかなと思っていた。こうこられそうな気がしたよ」

 趙に「黒9は予定の行動だったの」と問われ、王は「いいえ、その場の思いつきです」と答えた。思いつき、大いに結構。かしこまっていえば着想、英語ならアイデアだ。思いつきこそ碁の創造と進歩に欠かせない。

 両者はリーグ残留のがけっぷちに立たされた。1勝のみの趙は、本局を含めて残り2局を連勝しなければリーグ落ちとなる。2勝の王も順位が下なので似たようなもの。しかし盤外の思惑を離れ、コピー碁ではなく、碁を創造するふたりの序盤をじっくり楽しもう。解説は林海峰名誉天元。

 「この配置での黒9は初めて見ました。メイエンさんは勇気がある。白12はBも有力。趙さんはそう打つのだったと悔やみましたが、12も上辺をスソアキにして立派な一手でしょう」

(春秋子)

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