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< 第34期名人戦挑戦者決定リーグ戦第33局  観戦記 >
黒 趙 治勲  二十五世本因坊   対   白 小林 覚   九段

 

残りひとつ

2009年9月3日

 開始5分前、小林覚は盤の前に座ると、背筋を伸ばし目をつぶった。趙治勲は部屋を出たり入ったり、しばらくうろうろしてから着席する。

 8月6日はリーグ最終日。一斉に4局が打たれる。来期のシード権は残りひとつ。趙と小林、本局に負けたほうのリーグ落ちが決まる。ほかで打たれている3局の勝敗が、全く関係ないのは、すっきりしていていい。

 黒11の走りに白12のハサミは、最近ではめずらしいという。白18にツケて流行を追うのは変化が多い。小林は手厚い定石を選んだ。

 黒は21のカカリから27までと、足早に展開する。

 白28のコスミツケに趙の手が止まった。「黒Aのツケも模様の接点で魅力的。迷ったのでしょう」と解説役の楊嘉源九段。白Bのハネ込み以下、符号順に白F切りとなると、地の損が大きい。34分をかけて悩んだ末、黒は結局29にサガった。

 最初から決めていたのか、成り行きなのか。小林は右下白30から上辺34と中央経営に乗り出した。

 白34から36とハザマを開けて構えるのを、宇宙流の大家である武宮正樹九段が最近推奨しているという。すぐ黒Gとハザマをついても、白Hから押し切られてもよくない。

 大きな白模様の輪郭が、浮かび上がってきた。黒はどこから手をつけたらいいのだろうか。

(内藤由起子)

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