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< 第34期名人戦七番勝負第1局  観戦記 >
黒 張栩  名人   対   白 井山裕太  八段

 

熱闘開幕

2009年10月1日

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 10分前。張栩名人がこんなに早く対局室に現れたのには驚いた。3分あとに座った井山裕太挑戦者も、ちょっと意外に思ったろう。

 カメラのシャッター音をいつもより長く浴びながら、ふたりはそのときを待っていた。ツボを刺激する健康器具を手のひらでもてあそび、名人はもう対局中のような態勢だ。

 立会人・石田秀芳二十四世本因坊が開始を告げ、握りの結果、名人が先番となった。気息を整え、上辺をひとにらみすると、まっすぐ右上へ手を伸ばし小気味よい音を立てて打ちつける。

 最強の名人に、若き挑戦者。囲碁ファンが待ちに待った熱闘が始まった。

 前期挑戦手合でフルセットの末に敗れた井山が、「くやしい思いを持って、1年間戦ってきました。昨年より成長した自分をお見せしたい」と、頼もしい言葉とともに名人戦の大舞台に再び戻ってきてくれた。

 黒1、3の星と小目は、名人が最近、好んで試みている。「白2がAの小目なら、名人は黒Bにシマります。2が星なので、黒5のカカリから7と構えました」と解説の河野臨九段。打ち慣れた布石なのに、名人はここまでノータイムの着手がない。黒3に3分、5、7に各2分と小刻みに時間をかける。

 落ち着いたテンポの立ち上がりは、去年とは違うムードだ。

(内藤由起子)

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