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< 第34期名人戦七番勝負第4局  観戦記 >
黒 井山裕太  八段   対   白 張栩  名人

 

ギャップ

2009年11月12日

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 対局前夜。夕食の後は検討室でくつろぐのが挑戦手合での基本定石だ。話題の中心はいつの間にかハメ手に。40歳から上の読者ならかなりの率で、「快禅の大塗り」をご存じだろう。昔の定石の書籍にはまず掲載されていた。江戸時代の素人強豪小松快禅の傑作ハメ手で、大胆な捨て石から全局を圧倒する外勢を築く。幽霊と打ったとされる棋譜も残している不思議な人物だ。

 快禅は思い出したものの、肝心の「大塗り」の手順がどうしても再現できない。そこで文明の利器、パソコンを活用。ようやく正解手順を得た。そこへ、ひと風呂浴びた井山挑戦者が顔を出す。

 「もちろん、知っているよね」と声をかけると、「えっ、なんですか、知りません」。別の有名なハメ手を見せても反応が悪い。でも、優越感に浸るヒマはなかった。ハメ手破りを瞬時に見抜いた。

 張名人はわたしたちと同じく、「本で見たことありますよ」。20歳の挑戦者と29歳の名人。どちらも若いと思っていたが、ジェネレーションギャップは存在した。この第4局にもそんな場面が何度か現れ、勝敗を左右することになる。

 タイかカド番か。大一番は挑戦者の低い中国流でスタートした。

 名人は白8のホンワカムードから一転、白10、12と厳しく迫る。早くも前例のない世界に踏み込んだ。

(松浦孝仁)

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