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< 第34期名人戦最終予選1組決勝  観戦記 >
黒 小県真樹  九段   対   白 柳 時熏  九段

 

投げられない

2009年1月7日

 柳は、すでに秒読みに突入している。

 左下白4のコスミツケに黒5とケイマされると、柳は「やっちゃったか」とため息をもらし、白6にハネた。

 中野「6では参考図の1とブツカっているほうが実戦よりだいぶよかった。黒2の出が心配ですが、白3と遮って19までとすれば、黒は生きられそうにありません」

 黒は2で4にサガるくらいで、白2と止めれば中央に白地がつき、形勢は白が少し悪いながらも息が長かったという。

 下辺で失敗し動揺している柳にとって、ここで冷静になれというのは酷だろう。

 実戦は黒9、11の出切りから白地が蹂躙(じゅうりん)されただけでなく、黒59と下辺の白5子まで取り込まれ、盤面10目以上の大差がついた。

 柳はぼやきながらも淡々と、最後までヨセていった。いつもの柳ならば、もうとっくに投げたかもしれないのに、この碁は悔しくて投げるに投げられなかったのだろう。リーグ復帰への強い思いが伝わってくる。

(内藤由起子)

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