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< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第4局  観戦記 >
黒 溝上知親  八段   対   白 趙治勲  二十五世本因坊

 

考え方は変わる

2010年2月4日

 溝上2分遅刻。車を運転して夫人の加藤啓子六段とともに日本棋院にきたのだが、いつも以上に道路が込んだという。おまけに身重の夫人をいたわって6階の対局室までつきそい、趙の待つ7階の特別対局室に急いだ。

 こうして溝上は7年ぶりの名人リーグに戻った。あまり目立つ存在ではなかった前回と違うのは自信だろう。それもそのはず、最終予選で破った相手が順に小林覚、依田紀基、山下敬吾とすごい。この3人に勝つなら、リーグでも上位にくると予想して無理はない。もうすぐ父親になるのも自信の後押しをしたのかもしれない。

 黒11まで見慣れた序盤と思ったら、趙はAではなく白12へ。ありきたりの碁にしないのが趙の流儀だ。溝上は24分考えて黒13のハサミ。以下すらすらと進んで黒27までの定石が完成した。

 この定石、昭和時代は黒よし説が圧倒的に多く、白で好んで打つプロはほとんどいなかった。しかし変われば変わるもの。現在では白よし派が多くなり、黒で打つのは厚みを重視する高尾紳路ら一部に限られるようになった。溝上もそのひとりである。

 白28に趙は24分、昼食休憩をはさんで30に36分費やした。黒の厚みを重複させようとする高級戦術。「このツケオサエがぴったりで、黒はもうコミを出しにくい」との意見もあった。

(春秋子)

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