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< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第7局  観戦記 >
黒 小県 真樹  九段   対   白 溝上 知親  八段

 

左利きのこと

2010年2月25日

 小県の左手が右上星に伸びたとき、最近あるベテラン棋士に聞いた話を思い出した。

 50年以上も前、地方から上京したばかりで入段間近の左利きの有望院生がいた。その対局を見た院生師範の大先生、「バカもの。碁は右手で打つもんだ」と一喝した。納得できない少年は即座に院生をやめ、プロへの道をあきらめざるを得なかった。

 理不尽な話だ。そんな院生師範ばかりなら、小県も井山名人も存在しなかったことになる。もちろん現在は、右手で打てとは強制しない。いい時代というべきか。

 黒は星とシマリ、白はタスキ星の布陣。白12あたりから前例のきわめて少ない展開となり、両者は惜しみなく時間を使い出した。

 白8と高く、6のヒラキがある場合は、黒13のコスミに対して白14と受けて左辺を大切にしたくなるところらしい。白6がなく、8がAなら、白14でBとコスミツけ、黒C、白15が予想される。解説は山城宏九段。

 「封鎖を避けるには黒15の一手です。白16と黒17はともに気合でしょうね。白16でDと構えても悪くないし、黒17で21に受け、白Dを譲ってもどうということはないけれど、互いに反発したくなるものです」

 もう前例がまったくない碁形だ。早くも午後の戦いに入り、黒17に小県は50分を投じた。

(春秋子)

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