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< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第8局  観戦記 >
黒 坂井 秀至  七段   対   白 趙 治勲  二十五世本因坊

 

乗り越えるか

2010年3月4日

 9人総当たりのリーグ戦。選ばれたトッププロばかりだから、だれが挑戦者になってもおかしくない。しかし、必ず3人はリーグからはじき出される決まり。挑戦者とリーグ落ち組の境目は、いったいどこにあるのか。

 挑戦権を握った棋士とリーグ落ちした棋士には、共通点があると思う。それは「運」に勝敗を左右されたとしか思えない対局の存在だ。「あの碁に勝てたから」「あの碁を落とさなければ」という対局が、多くの場合どこかに潜んでいる。

 坂井は12月の対高尾紳路戦でそんな対局を経験している。「大逆転」という言葉も色あせるほどの、まさしく惨劇だった。あんな必勝形を落としたらリーグ落ち一直線になっても不思議じゃない。

 ただ、敗戦の謎解きを数日で終わらせ、「これからは常に冷静な姿勢を心がけます。呪文でも唱えながら」と気持ちを切り替えたのには感心した。このショックを乗り越えられれば、あるいはあの黒星が飛躍のきっかけになるかもしれない。

 趙が関西棋院へ出向いての一局。「趙先生がきているのですね。オーラが見えるようです」と若手棋士は興奮気味だ。盤上もワクワクする石組み。黒5、7の構えに白は8から10。ゆったりした雰囲気だったが黒11から激しくなる。白18のあと、次の一手が興味深い。黒Aでも黒Bでもない。

(松浦孝仁)

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