現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 囲碁
  4. 名人戦観戦記
  5. 記事

< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第12局  観戦記 >
黒 小県 真樹  九段   対   白 坂井秀至  七段

 

小林流

2010年4月1日

 さっそく盤上に目を向けていただこう。碁盤を時計回りに90度回転させると黒5のシマリが懐かしく感じられる。名人戦リーグに限れば、第31期を最後に打たれていなかった。

 かれこれ20年にはなる。黒3、1、5の布陣は、小林光一九段が名人戦七番勝負で愛用し、のちに小林流ともいわれた。いまは黒5が新鮮にさえ映る。開幕2連敗の小県、まずは隅をシマって、じっくり戦うつもりだろう。なお、5で黒A、白19、黒Bと構えるのも小林流。前者が新しい小林流だが、現在は後者のほうが人気が高いか。

 黒13までの定石に続いて、白14とコスミツけ、黒15に左辺白16と受けたのは坂井。こちらは、同じ小林でも小林覚九段が得意とする作戦だ。白C、黒D、白E、黒17、白Fのコウ仕掛けが狙い。黒は手厚く17に備えるのが相場で、白は足早に右辺18へまわる。

 2月11日、大阪・関西棋院での一局。ここまでは理解のしやすい進行だった。

 黒19のカカリ以降が実に興味深い。まずは坂井の白20。下辺左側の黒が強いため、単に白22では黒Gに入られる可能性が高いと踏んだ。白21にツケて下辺の黒を凝らせる別法も考えたという。

 そして小県の黒23。黒Hではあまりにも平板、黒Iももの足りない。下辺を立体的にした、なかなかの好手だった。

(伊藤衆生)

[次の譜へ]

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内