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< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第16局  観戦記 >
黒 張 栩  棋聖   対   白 溝上 知親  八段

 

改造か?

2010年4月27日

 実利と厚み。この言葉が対になっているのは囲碁の世界だけだろう。盤上では、基本的に両者は同時に成り立たない。実利を先行すれば薄くなり、厚みを優先すれば、実利を敵に与えることになる。

 張の棋風を「厚い」と答える囲碁ファンはいない。彼は明らかに実利先行脚質だ。しかし今、その棋風に変化の兆しが出てきたとささやかれている。現代碁界の厚み、勢力派を束ねるといっていい山下敬吾と戦い続けるうちに何かを吸収したのではないかと。ふたりは昨年末の天元戦、今年に入り棋聖戦、十段戦と3棋戦連続でタイトルを争っている。

 棋風転換となれば、プロゴルファーのスイング改造に匹敵する一大事だ。張は大変身したのか。そこに注目しながら、本局を楽しんでいこう。

 溝上は張の反対側に位置する、力をためるタイプ。左上の白6や、右下の白14にその傾向が表れている。

 「白14では15からオサえる碁が多いですね。続いて黒14、白A、黒B、白Cと進み、白はDのトビ込みと黒11の一子への攻めを見合います。実戦よりも戦いに突入しやすい流れになります」と解説の金秀俊八段。

 右下を先手で切り上げた溝上は、白6、8でためたパワーをさっそく白18で発揮しようとする。さあ、ここで張に注目。厚み派のように、黒19のマゲを選んだ。

(松浦孝仁)

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