現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 囲碁
  4. 名人戦観戦記
  5. 記事

< 第35期名人戦挑戦者決定リーグ戦第28局  観戦記 >
黒 溝上 知親  八段   対   白 結城 聡  九段

 

ひょんなこと

2010年7月30日

 定石の見直しや改良は何かの発明と同じように、ひょんなことから始まるのかもしれない。結城は挑戦権獲得を、溝上はリーグ残留を目指してのともに負けられない一番は、見慣れない立ち上がりとなった。

 まずは白8の上ツケに対する黒9に注目したい。自然な流れに身を任せれば、黒9は12、白15、黒Aだ。ここに力を蓄えれば、黒5の一子との幅が自慢できる。さらに白Bなら黒Cで、左辺は黒模様になる可能性も。しかし溝上、なぜかこの進行を選ばない。

 白10から14は、結城の碁には比較的多く現れるという。解説は結城と同じく関西棋院の横田茂昭九段。

 「大好きなんですよ、この定石が。溝上さんが黒9としたのも、好みの形なのでしょう」

 黒が15、17と切りノビたところが序盤のポイント。白18にはこんなエピソードがある。

 横田「1年ほど前、関西棋院内の手合であまり定石や細かいことを気にしない棋士が、たいして考えずにポンと白18へ打ったのです。結城さんが研究してみると、意外なことに有力と判明。以降、愛用しています」

 それまでは白18で21のマゲが多かった。黒はDの封鎖かEのスベリか。いずれにせよ、難解な変化を含んでいた。黒21のオサエは先手でも腹は立たない。白22と黒のダメを詰めておけば攻勢に転じやすい。

(松浦孝仁)

[次の譜へ]

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介